ゆっくりと育む | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -


 13:自覚する

クラッカーは悪魔の実の能力をだいぶ使いこなせるようになった。今はビスケットを無限に生み出し操ることが出来る。
今日もパパンと手を叩いてビスケットを一つ二つ三つと生み出していく。

それを見たスムージーが笑顔で駆け寄ってきたので、クラッカーは何枚かビスケットを目の前に出してやった。

「わっ!兄さんありがとう!」

ビスケットを笑顔で頬張るスムージーの頭をクラッカーは撫でてやる。

「もっと食べたい」
「おいおい、あんま食い過ぎるとおやつが食えなくなるぞ?」
「だって兄さんのビスケット美味しいから」
「フフ、まぁな!でもナナシが作るおやつも美味だろ?」
「うん、ナナシのおやつ好き!面白いし!」

ナナシが作るお菓子は美味しくて面白い。まさかこれとこれを合わせるのか!とナナシの発想にパティシエ達はよく感心しながら眺めていた。シュトロイゼンにも褒められるし、ママだってもちろんナナシのお菓子を気に入っている。

「楽しみだな!ちょっとナナシの手伝いでもしてくるか」
「クラッカー兄さんはナナシが大好きだね」
「当たり前だろ!」
「じゃあ、兄さんはいつかナナシと結婚するの?」
「………………は?」

この妹は突然何を言い出すんだとクラッカーは固まった。だってクラッカーは物心ついた時からナナシが大好きなのだ。それは今もずっと変わらなくて……だからいきなりそんな質問されても考えた事がないからわからない。

「な、んだよ、急に……」
「昨日ナナシに読んでもらった絵本に書いてあったよ?女の子は皆お姫様で、いつか王子様と結婚するんだって!」
「いや、でも、ナナシは、あ、姉……」
「え?ナナシと私達は血繋がってないんだよね?」
「そ、そう、だな……」

クラッカーは改めてスムージーの質問の答えを考えてみる。
結婚するというのとはキスとかまぁその他にも色々するわけだろう?自分とナナシが……あれ?幸せにしかならなくないか?とクラッカーは思った。
考え込んでいるクラッカーの顔を不思議そうに見ていたスムージーは突然慌てて声を上げた。

「に、兄さん鼻血!!」
「え?う、わっ!?」

色々想像してみたクラッカーは鼻血が出てしまった。
その時たまたま近くを通り掛かったナナシが二人の慌てている様子に気が付き駆け寄ってきた。

「どうしたの?」
「ナナシ!兄さん鼻血!」
「わっ!クラッカーどうしたの!?ぶつけた?」

そう言いながらナナシはポケットからティッシュを取り出しクラッカーの顔へと手を伸ばし血を拭いてやる。
頭の中でとんでもない想像をしていたクラッカーはその想像相手のナナシに突然触れられて一気に体が熱くなる。恥ずかしくて耐えられなくなりついナナシの手を払い除けてしまった。

「さ、触るな!!」
「……………え?」

クラッカーはナナシの顔を見る事が出来なくてそのまま走り去った。
まさかクラッカーにそんな事をされると思っていなかったナナシはショックで固まってしまう。
スムージーは目の前で起きた事にただオロオロするしかなかった。





「た、大変だペロス兄!!」

クラッカーはバーンとドアを開けてペロスペローの部屋に入った。
中にはペロスペローとおまけにカタクリ、ダイフク、オーブンまでいてお茶をしていた。クラッカーが三つ子を見てあからさまに嫌そうな顔をしてきたので、それを見て三つ子はなんだよ!と文句を言った。

クラッカーはペロスペローだけにナナシの事を相談したかったのだ。三つ子はどうせ馬鹿にするのがわかっているから聞かれたくなくて、でも出ていってくれと言って出て行く相手ではない。早く相談したかったクラッカーはどうせいつかバレるだろうしと思いそのまま話し出した。

「お、おれ、気付いたんだ」
「何をだ?ペロリン♪」
「そ、その、ナナシの事が好きだって!!!」
「………………何を今更?」

顔を真っ赤にして叫ぶクラッカーにペロスペローと三つ子は声を揃えて言った。
思っていた反応と違いへ?とクラッカーからは間抜けな声が出る。

「お、おお、おん、女としてだからな!!」
「知ってるよ。ペロリン♪」
「えっ!?」
「まずあれだけナナシに引っ付いていて好きじゃないとか言ったらそれこそ異常だろ?」
「だよな」
「幼い兄弟とナナシ以外はたぶん気付いてるぜ?」
「う、嘘だろ!おれさっきスムージーに聞かれて気付いたのに………!」
「妹に聞かれて気付いたのかよ」

そんなやりとりをしている時、部屋のドアがちょっとだけ開かれた。

「クラッカーいる?」

ナナシの声を聞いてクラッカーは固まる。
クラッカーを発見してナナシはちょっとおどおどした様子で声を掛けた。

「ク、クラッカー大丈夫?」
「な、何、が?」
「いや、その……ってまた鼻血出てるよ!」
「っ!!」

またも鼻血が出てしまったクラッカー。ナナシは慌てて駆け寄るもさっき手を払い除けられたのがショックだったのでオロオロとするだけ。とりあえずと思いナナシはティッシュをクラッカーに差し出した。
クラッカーはナナシを好きと自覚してしまった今さっき想像した色々な事が頭の中に思い浮かんでしまいとにかく照れ臭くて恥ずかしくて仕方がない。

「ほ、放っといてくれ!!」

やっぱりナナシの顔を見ることは出来なくて、クラッカーはまた走り去った。
そんな様子を見て三つ子は笑い、ペロスペローは呆れている。ナナシはしょんぼりとしながらぼそっと呟いた。

「クラッカーもとうとう反抗期かー」
「いや、あれは思春期だ。ペロリン♪」
「…………え?」
「まぁ、しばらくそっとしといてやれよ。ペロリン♪」

ペロスペローはナナシの肩を叩いて部屋を出ていった。その後ろ姿を眺めながらナナシは首を傾げたのだった。










「おい、クラッカー?」
「ペ、ペロス兄」
「お前の態度にナナシがショックを受けてたぞ?」
「うっ………で、でもどうすればいいのか」
「普通にしろ普通に」
「ふ、普通って……?」
「そうだな、今までみたいに抱きついたりとか……」
「そ、そんな事出来るか!!!」
クラッカーは今までの自分の行動を思い出してしばらく悶えた。










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
やっとここまできた。

[ 戻る ]