ローゼなの?リーリエなの?

その名はレム


剛犬組の溜まり場……改めて本家、純和風日本家屋へ向かった後、彼らを途中まで送れば一人別行動。ここから先は一人である。キューベルワーゲンの座席の下、流石に此処までは調べないだろうと言う場所に武器は詰め込んでいた大半は剛犬組の彼らへ譲渡、渋い顔をしていただいざとなったら撃つしかない、弾はトメニアの科学力の賜物の麻酔弾、それと実弾を少しばかり、渋っていた彼らの半ば無理やり渡せばここでお別れ、どうか今生の別れとならぬことを祈る。

「トメニアの軍人さんが何の用なのかねぇ……。」

当たり前ではあるがNECTER敷地内へ入る前に検問所がある、と行っても職員パス……というか入場許可の証明書は少女が祖国トメニアの素晴らしき科学技術により複製をつくった、完璧である。

「その証明書にあるとおりだ、それ以上でもそれ以下でもない。もう行っても構わないか。」

車の戸から顔を出し面倒くさそうに黒服はつぶやく、職員の方はと言えばやや訝しげな視線を向けるも証明書が偽物とも思えなかったらしい、当たり前である警察の捜査並みの事をされてもばれる気がしない、そう言うレベルの偽装だ。その程度できなくって何が潜入だと言うのか。じゃあどうぞ、なんていう職員を横目にどうも、とだけ告げ車を走らせる。暫し敷地内をいけば見えた、研究所。

「……もう少しにぎやかになったら向かうとするか。」

ため息をつきつつキューベルワーゲンから降りる、そのボンネットを撫でつつ少し休憩だ、なんて呟いた。
暫し荷物を運ぶ振りをして銃器の確認をしていればどん、聞こえる爆発音、此処にまで響いてくる警報。前線部隊はいまいずこ、パリは、燃えているか?

「行くか。」

適当に銃器をしまえばアクセル全開急発進、多少の無理にも耐えられるよう特別頑丈にしてもらった、己の身体も機械である、そうそうの衝撃じゃあ壊れやしない。そのまま、研究所の壁に、戸に、突っ込んだ、酷い音がする、ガラスが割れる音コンクリートの砕ける音意外と痛かった。ちょっと派手にやり過ぎただろうか。けれどもまあ、このくらいすれば此方にも注意が向くだろう、いざとなったら荷物の確認は剛犬組の彼らにさきにしてもらえばいい、一応連絡をくれる約束だけはしておいた、覚えていてくれるかはわからないけれども、彼らは信用に値すると自信を持って頷ける。
そうしてそのまま、アクセルを再度踏んだ、急発進、全て壊して一直線、案外研究所の廊下は広いもの、という予想は大当たりだ。叫ぶ声が聞こえる、何だか聞き覚えのある声も混じっている気がするがまあ、気にしない。爆走。

「おい、まて、止まれ、そこの車止ま……!」

止まれと言われて素直に停止させられる状況じゃあない、悪いが、まあ骨折くらいで済むだろう多分と言う事で遠慮なく真っ直ぐ直進、ブレーキ何ぞふんでやらない、職員はギリギリ避けたらしいが壁に思いっきりぶつかって倒れていた、微妙に体も動いているからきっと大丈夫無駄な殺生はしたくない。戦場と同じと考えれば敵に配慮なんかしていられないけれど。

「ふん、悪いな。」

小さなつぶやきはエンジン音にかき消える。それでは港まで、参りましょう!

Title by トリステーザ、死す
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