目の前を並んで歩く20歳の男2人を見たティナが思ったことは

「(同い年、かぁ…)」

それは、憧れであった。

今日のイミテーションの討伐にはティナ、バッツ、セシルの3人で向かった。
バトル自体は何ら問題なかった。
しかし、異様なまでに息のあった2人にティナは自分が取り残されているような気持ちがした。

「ティナ?」
「どうかしたかい?」

無意識のうちに視線が2人に集中していたらしく、気付いたセシルとバッツは心配そうな表情でこちらを振り返った。

「ううん、なんでもない」
「どこかケガでもした?」
「バトル、キツかったか?」

すぐには口を開けなかった。が、2人の視線が外されることも無かったので、ティナは少し恥ずかしさを覚えながら話し出した。

「えっと…2人がうらやましいな、と思って…」
「「?」」
「だって、まわりに同い年の女の子なんていないんだもん」

ああ、それで。
セシルとバッツは互いに顔を見合わせて、ティナの正直な憧れにちょっと得意になった。

同い年、と聞けば、親近感が湧くというのはある。
同性なら、尚更だ。

「確かにおれたちは同い年だから仲が良いのかもしれないけど、それだけじゃないさ」
「そう、共に戦う、大切な仲間だからね。それはティナ、君だって同じだ」

全くもって、その通りだ。
励ましと慰めを同時に受けて、ティナは嬉しさの反面自分の子供っぽさに悔しさを感じた。

そんなティナの晴れない表情に気付いたバッツは、

「よし、セシル、ここは行動あるのみだ」
「え?」
「ティナ、おれたち先にコテージ戻ってるから。気にしないでゆっくり帰って来れば良いからさ!」

そういうとセシルの手を引きコテージの自室へ飛んでいった。


しばらくして、コテージに着いたティナは思わず声をあげた。

「うわあ…!」

そこにいたのは、無邪気にはしゃぐ茶髪の娘と、銀髪の美女だった。
無論、バッツとセシルである。
セシルの着ている水色のドレスは、彼を、いや彼女を普段より一層美しく見せていた。
そしてまた、バッツは黄色のワンピースだけではあきたらず、茶髪のウィッグまで装備済みだ。

「2人ともどうしたの?」
「ティナ、今はおれたちのこと、同い年の女の子だって思っていいぞ」
「(そういう問題かなあ…?)」

心の中でツッコミはしたものの、自分たちを見ているティナの表情は輝いていたので、セシルは気にしないことにした。

「せっかくだから、私もおしゃれしたいな」
「良いな!髪飾りとか持ってこようか?」
「あ、私リボン持ってるから。セシルも付ける?」
「え、僕もかい?」
「このネックレスも似合うぞ!」

言葉に抵抗の意を覗かせても、乗り気になった2人には届きそうになかった。
それ以前に、2人の楽しげなやりとりに抵抗する気力は奪われる一方だった。

そしてまた数分後。
セシルとバッツはリボンやらアクセサリやらで一段と髪型も装飾も華やかになった。
ティナも赤いシルクのドレスに身を包み、2人に負けない女性らしさを見せつけた。

ティナはこれ以上ないくらいの興奮した表情で2人を見つめた。

「セシル、バッツ…ありがとう!」

セシルとバッツも、彼女の笑顔につられて微笑んだ。
自分たちが元気づけるはずが、こちらまで元気をもらった。
だから、年の差も性別も関係無いのに、と思った。


そんな3人を見つけた通りすがりの某義士が、歩いていた廊下を鮮血に染めて倒れているのに気付いたのはしばらく経ってからだった。



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