これから、このまま

探してみよう


「それでね、ロックがクリスマスパーティーやろうって言い出したの」
「良いなあ、エドガーたちも来るんでしょう?」
「こういうことに1番お金を掛けたがるのは彼だから」

話題は、12月25日について。
その日を心待ちにしている少女2人、ティナとセリス。

「でね、ティナに相談があって…」
「え、何?」
「パーティーの時にプレゼント交換するんですって。そのプレゼント、何買おうか迷ってるの」
「プレゼントかあ…」

その相談に、自信のある答えを出せるだろうか。

ティナは孤児院育ちである。
自立して一人暮らしを始めるまで、自分が自由に使えるお金というのはほぼ無いに等しかった。
その為、人にプレゼントを買ってあげるという経験がほとんど無かった。

「…私、あんまりそういうの分からないな」
「じゃあ、ティナが貰って嬉しいもの教えて」
「私が貰って嬉しいもの…」
「プレゼントを選ぶときはね、無意識に自分が貰って嬉しいものをあげちゃうものなんですって。だから、相手の気持ちを踏まえた物を買いたいの」

相手の、気持ち。
そうか、プレゼントを選ぶのにそんな苦労があったんだ。


ふと、孤児院の日々を思い出す。
クリスマスにはいつも職員たちがサンタクロースの格好をして、プレゼントをくれた。
と言っても、手作りのお菓子やぬいぐるみだったが。
それでも、そこには子供たちの笑顔があった。
彼らがくれた笑顔は、どんな高価なプレゼントより素敵だった。


…あ、貰って嬉しいもの、見つけた。

「あのね、私が貰って嬉しいものは…私を喜ばせるために、一生懸命考えてくれたものかな」
「…それだけ?」
「うん」

きっぱり断言されると、セリスから不安そうな影が消え、何か納得した表情が見えた。

「よし、私、決めた!ありがとう、ティナ」
「どういたしまして」


そして本日、パーティー会場では。

「セリス、すごい…」

色とりどりの花で出来た、クリスマスリース。

「温室で育てた花を使ったの」
「貰った人、きっと喜んでくれるよ」
「ありがとう。ティナは何を持ってきたの?」
「私はね…」

華やかさは無いけれど。
この小さな袋の中身が、君に笑顔を届けますように。


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