これから、このまま

輝いた


「さて、どうしよっかな…」

バッツが抱えているのは、彼の背丈よりは低いものの、立派なもみの木。
クリスマスツリーにぴったりであろうそれ。
これはセリスのバイト先の花屋で、クリスマスの期間手伝いをしたお礼らしい。

それにしても大きすぎる。
一人暮らしの彼の部屋にこれを置くなど、もみの木が部屋の主も同然である。


「もしかしてバッツ?」
「てか顔見えねえ!」

声から察するに、レナとファリスだ。

「どうしたの?立派なもみの木ね」
「仕事手伝ったからお礼にだって」
「なんつーありがた迷惑…」
「ほんと迷惑だ…」

と言いかけて思い出した。
この2人の家立派だったよなだったらこのもみの木置くのぐらい全然良いよな。
よし、それ以外思い付かない。

「なあ2人とも、これ貰ってくれ!」
「え、でも…」
「俺の部屋に置いたらこいつが主役になるんだよ」
「んなこと言われてもなあ…」
「あ、バッツ!」

またも聞き覚えのある声。

「お、クルルか」
「そのもみの木すごいね!」
「立派過ぎて困ってるんだよなー」
「困る?」

現在までの経緯を簡単に説明すると、彼女は目をキラキラさせてお願いしてきた。

「これ、私にちょうだい!」
「え?」
「私の家にあったツリー、だいぶくたびれちゃったし」
「そうか、ぜひ貰ってくれ!」
「じゃあ、バッツがそれを運んであげなきゃね」
「そして2人だけで行かせるのは不安だレナ行くぞ」
「着いて行きたいだけだよなそれ」

こうしてクルルの家に到着するやいなや、設置場所はここだ今すぐ飾りつけだで大忙し。
そして。

「わあ!」

華やいだツリーと、輝き出すイルミネーション。

「すごく綺麗!」
「うふふ、みんなで頑張って飾りつけしたものね」
「ほとんどレナとクルルだけでやっちまったけどな」

ああ、本当に輝いている。
少しだけ目を細めた。
みんなの笑顔が、眩しいから。

今日のおれ、みんなを輝かせるサンタクロースかも。


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