番外1.2
番外1
無事にセドリックがゴブレットに名前を入れずに俺は代表選手になれた。
計画通り。
とか死のノート風に心の中で言ってみる。セドリックごめんよーけどお前のためだから。
まあ選手になってみて、あれだ、ハリーへの仕打ちに少し心が痛むわけだ。
スリザリンを中心に“汚いぞ、ポッター”バッジを付けていたり、俺のことを応援してくれてるのか同じ寮の子達もハリーを避けたり睨み付けたり。
なんか俺も悪役っぽいじゃん。と思って俺は人目のある大広間で席についているハリーのところへ向かって行った。
「よう、ハリー。あー、話があるんだが」
「……何でしょうか」
言うなれば猫が毛を逆立て警戒するかのように俺をじっと見てくるハリーに俺も真摯に見つめ返した。
「ゴブレットに名前を入れたことなんだけど。俺はハリーが仕組んだことじゃないと思ってる。一応四年間ホグワーツの後輩として遠くからだけど見てきた君がそんなことするわけないと俺は思っているよ」
「……えっ」
「もし君を悪者扱いするくだらないものがあるなら俺は違うとはっきり言うし、ライバルだから試合の事は協力できないけどそれ以外に困った事があれば力になるから言うといい。それを君に伝えたかった」
そう伝えれば驚いた表情の後にハリーは下を向いた。
泣いているのかと心配したが、俺を見上げたハリーの目には涙はなく、迷子のような表情をしながらも「ルイ、ありがとうございます」と言った。
さすが、物語の主人公だなと思った。
もしハリーのしていることを俺にしろと言われても彼のようにはなれないだろう。
子供の彼に重くのし掛かる運命に俺は胸を打たれて俺は彼の頭に手を乗せた。
「なーに、寮は違っても後輩の心配をするのは先輩の勤めだ。頼るといい」
それくらいしか俺はしないのだから。
胸に引っ掛かるものを誤魔化すように俺は後輩の頭をガシガシと撫でた。
まあそこまでは先輩後輩のハートフルストーリーだったと思うが。
「なあセドリック、まだか」
「……」
無言で続けろと言ってくるセドリックの頭を俺は撫で続けている。
ハリーとあの会話の後、セドリックに誰もいない部屋に連れて行かれて鬼気迫る表情で俺に撫でるように言ってきたのだ。
あまりの熱意に俺は負けてセドリックを甘やかしている。
「兄さん」
「何だ、セドリック」
「胸が痛い」
「胸?なら医務室行くか」
「いらない」
「そうか」
まるで小さい時に戻ったかのようにわがままを言うセドリックに俺は軽く返す。
きっとセドリックのこの思いは一時のものだと思いながらも警報が鳴るのを俺は無視する。
なんとなく今逃げたらそちらの方が危うい気がするのだ。
兄さんは僕だけの…と微かに呟くセドリックの声は空耳だと思うことにする。
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番外2
(セドリック視点)
魔法学校三校で行うクリスマスのダンスパーティーにチョウを誘った。
艶やかな黒髪に東洋人特有のあどけない顔つき、僕がダンスに誘うと優しく笑うその表情。
可愛いなと思う。
もしも僕が彼女だったら兄さんに好きになって貰えたのだろうか。
兄さんはチョウの事を気にしている。
昔から兄さんは東洋人を見ると目をやっていた。たぶん、兄さんの好みは東洋人なのだと思う。兄さんの部屋に転がっていた雑誌も東洋人のものが多かったし。
その中でも特に同じ寮である彼女、チョウ・チャンのことは目で追っていた。噂になっているくらい。
血の繋がっていない弟でなくても分かるほどに。
けどまだチョウをパートナーに誘っていなかったようだ。それに僕は安堵した。
もし本当に兄さんがチョウと付き合い始めてしまったら僕は。
僕がチョウのように一人の女性であったならとは思うが、けれど弟であるこの位置も誰にも譲れない。
いつかそういう日がくることは分かっている。
けど少しでも長く僕だけの兄でいてほしい。
(夢主視点)
「はっくしゅ」
うん。誰かが俺の噂をしているようだ。まあホグワーツの代表選手である俺の噂をしてる人なんていっぱいいるだろうしね。
さてと、ダンスパーティー誰と参加しようか。
同じ寮のチョウは可愛いけど日本人だった頃を思い出してなんか気恥ずかしいしどうせセドリックが誘うだろうから無しにするとして、一番誘いたいのは妹みたいな意味で不思議ちゃんのルーナだけど俺現世ではイケメンだからね。
今までに何度も誘われまくってるくらいのイケメンだからね。そんなのに誘われたらルーナへのイジメが増しそうだからできないし。そもそもみんな子供だしなー。
あーあ。面倒くさいしもういっそ不参加じゃだめかな。
まあ適当に同い年でヒエラルキー高い人にしておくとしようか。
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