醜いアヒル
私は自他共に認める不細工だ。だからといって別にいつも悲観的に生きている訳ではない。
確かに見た目はあれだけど、その分心は正しくあろうとしているし、人よりも努力もしている。
だからスリザリン生に顔について嫌なことを言われても、そうね不細工ね、けど人の悪口をいう貴方よりは不細工じゃないわよと思うだけで大丈夫だった。
けれどそんな私にとって、クリスマスパーティーはバッドイベントである。
クリスマスパーティーには二人一組のダンスもある。
そのパートナーを探す必要があるのだけど、パートナーはやはり見た目が大事だ。
つまり私は余り物かあるいは誘われないものだろう。
その予想は当たり、クリスマスパーティーの一週間前まで私は誰からもダンスに誘われることがなかった。
友達はそんな私を心配してくれたけど、私はそれならそれでパーティーに参加しなければいいことだと思っていたので
「ルイ、もしパートナーがいないのなら一緒に踊らない?」
とグリフィンドールの悪戯仕掛人の一人リーマス・ルーピンに誘われた時は普段も私に愛想良く接してくれる良い人だと知っていたにも関わらず、思わず悪戯か何かかと思った。
こうして思わず頷いてしまった私だけど。
ダンスパーティーの当日リーマスと一緒に行った会場で、どんなに着飾っても他の子達のように可愛くなれない私にスリザリン生がからかうように嘲笑いながら話しかけてきた。
「ルーピン、よくそんな不細工と踊れるな」
自分で理解していてもやはり落ち込むもので、思わず下を向くとそんな私を守るかのようにリーマスは間に立ちふさがった。
「ルイは世界で一番可愛いよ」
その初めて言われた言葉に驚いて顔を上げると、優しく頬笑むリーマスと目が合った。
スリザリン生それに爆笑して「それはそれは。癒者にかかることをお薦めするよ」と馬鹿にしたように言って去っていった。
「ありがとう、リーマス」
庇うために言ってくれた言葉が素直に嬉しくてお礼を言うと、リーマスは少し困った顔をした。
「言っておくけどこれは本心だよ。君は可愛いし、それに気がつかない人の方がどうかしている」
「でも、それは僕だけが気がついていればいいけどね」
そう真面目な様子で言うリーマスに私はどうしていいのか分からなくて、視線を落とした。
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ルーピンで「世界で一番かわいいよ」とかどうでしょう。
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