キスしないと出られない部屋

 ここは『キスしないと出られない部屋』です。
 20分以内に実行してください。

 私は普通にホグワーツの廊下を歩いていたらいつの間にか同級生であるトム・リドルと上のようなプレートのかかった部屋に閉じ込められた。
 ありえない。


 「ふざけんな、この。誰かいないのー!?」

 「どうやら魔法でもビクともしないみたいだね」

 「ふっざけんな!この部屋を作った奴ぶっ殺す」

 「口が汚いな」

 「うるさいこのスリザリンが」


 部屋から出ようと暴れる私に呑気にそう話すリドルに私は苛立ちをぶつけた。

 私はスリザリンが嫌いだ。
 だってうちの親も兄弟もみんながスリザリンが嫌いだし、狡猾で闇の魔法使いを多く排出するし、性格も悪い。
 確かに今一緒に閉じ込められているリドルはまだ温和な性格だけど、それでもスリザリンに変わりはないし誰がスリザリンなんかとキ、キスなんてするものか。


 「あまり時間もないみたいだし従った方が良いんじゃないかな」

 「嫌!絶対に嫌!絶対の絶対に嫌」

 「そう。そんなに嫌がられると傷つくなあ」


 そうリドルは本当に落ち込んだような声を出したので、罪悪感が沸いて私は動きを止めた。


 「うっ、べ、別に貴方が嫌いなんじゃなくてスリザリンが嫌いなだけだから。生理的にだめなのよ」

 「……あまりフォローになっていない気がするけど。うーん。これさ、口にとは書いていないからキスは額とかでも良いかもしれないよ」

 「へ?あっ。なるほどそうね」


 確かにプレートには部位についてのことは書いていない。
 さすがリドル、賢い。
 その事に私はホッと安心して落ち着きを少し取り戻した。


 「試しにしてみないかい?いつまでも僕とここに閉じ込められるのは君も嫌だろ?」

 「まあ、そうね。本当は額も嫌だけど仕方ないから我慢してあげる」

 「そう、良かった」


 リドルは私の言葉に安心したように息を吐くと、私の前に立った。
 身長の差から私がリドルを見上げる形になる。近くで見ると彼は憎たらしいほどにイケメンだった。


 「ごめん、あまり見つめられると恥ずかしいから目を瞑ってくれないかな」

 「ああ。そうね、分かったわ」


 リドルが言葉の通りに恥ずかしそうにはにかんでそう言うので私も少し恥ずかしくなって、言われた通りに目を瞑った。

 するとすぐに瞑った瞼の裏に影が落ちた。

 そして額に感じるはずだったものが、何故か唇に感じ私は思わず目を開けて、逃げようとしたけど。
 頭をそのまま強い力で押さえつけられ、深くリドルに口づけられた。


 「くっ、うん…ふっ」

 「んっ…」


 しばらくキスをされた後にやっと解放されて、私は息も絶え絶えに膝をついてリドルを睨み付けたけど、酸素が足りていなかったのですぐに言葉を発することができなかった。


 「なん…、なにす、るの」

 「だって、この方が確実に扉が開くだろうし」


 リドルは無理やりキスをした後とは思えないほど綺麗な笑顔を私に向けた。


 「それにさ。僕はルイ・ポッター、君が嫌がる顔がすごく好きみたいなんだ」


 そう告げた男はやはりスリザリンなのだと私はやっときちんと理解した。


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リドルは『キスしないと出られない部屋』に入ってしまいました。
20分以内に実行してください。
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