僕限定の

 ウィーズリー家長女であるルイはとにかくモテた。

 双子のフレッドとジョージの一つ下の年齢である彼女はまるで聖母のように誰にでも温和で親切で美しく、クィディッチでもグリフィンドールの選手として大いに活躍し、勉学も至って優秀だった。

 そんな完璧な彼女は当たり前のように人気があったが、常に兄弟である双子や彼女を支持する親衛隊に守られルイに手を出せるような人はいなかったし、彼女も色恋について興味がある様子もなかったため浮いた話などこれまでに一度もなかった。
 この日までは。



 二週間後にホグズミートが迫るその日。
 ルイは廊下を女友達と歩いていると、ハッフルパフ生である一つ学年が上のセドリック・ディゴリーに声をかけられた。


 「ルイ。良かったら、僕と一緒にホグズミートに行かない?」


 それは明らかなデートへのお誘いだった。
 ルイはそんなセドリックへ目を向けた。

 一緒にいた女友達はきっといつものようにフワフワと『ありがとう、けど兄弟と一緒にいく約束をしているの』だとか『楽しみね。なら玄関ホールで待っているわ』とか恙無く優しく答えるものだと思っていた。

 のだが。


 「は、はあ?な、なんで私が貴方とホグズミートにいかなければならないの?か、勘違いしないでよね。別に私は貴方のことが好きなんかじゃないのですからね」


 と、言葉をつっかえながら、顔を真っ赤にして答える初めて見るルイに周りで聞いていた人たちは目が点になった。
 セドリック以外は。

 セドリックはそんなルイを気にした様子もなく笑顔である。


 「うん、分かっているよ。僕が君のことが好きだから誘っているんだ。駄目かな」

 「べ、別に仕方がないから行ってあげてもいいけど。なら玄関ホールにその日いなさいよね。遅れたら承知しないですから」

 「うん、分かった。ありがとう」

 「精々感謝しなさい」


 爽やかに笑うセドリックに対して、もう顔から湯気が出るのではないかと言うほどくずぐすに赤くなりながらルイそう答えると、一緒に友達と歩いていたことも忘れたようで逃げるように寮の方へと走り去った。

 そんなルイに呆気にとられる中、セドリックは走り去るルイの背中を愛しそうに見つめながら「可愛いな」と呟いた。





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セドリックで「僕限定ツンデレ」とかどうでしょう。
https://shindanmaker.com/531520

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