三人で夏祭り 前

 仕事のために夏休み日本に来た。
 そこでライとバーボンと三人で組んでいた仕事帰りに三人でライの車に乗っていたのだけど、途中で夏祭りをしているのを見かけた。
 私と同じくらいの子たちは浴衣に身をつつみ色鮮やかな屋台の中楽しそうに歩いている。

 思わずそれを見ていると私へライが「行きたいのか」と聞いて来たので私は首を横に振った。

 「今日は帰って報告することがあるから無理よ」

 実際この後予定があったからそう答えると、ライは頷いたのでそれきりその話題はなくなった。

 だからまさか祭りの話題を再びふられると思わなかった。


 「今日は近くで祭りがあるらしい」

 あれからしばらく経ったまた三人で仕事をしていた時にライは私にそう言った。

 「そうなの。恋人とでも行くの?良かったわね」

 私には関係のない話だと思ってそう冷たく言うとライは息を吐いた。

 「誘っているのにも気がつかないとは君はまだまだ子供だね」

 「なんですって?!」

 子供扱いしてくるライを睨み付けて怒れば、黙って聞いていたバーボンから冷ややかな声が上がった。

 「ライ、知りませんでしたよ。貴方が少女趣味だったなんて」

 「そうよ、気色悪い。……じゃないわ、ちょっと二人とも表に出なさい。蜂の巣にしてあげる」

 思わず同意してしまったが何気にバーボンまで私を子供扱いしていることに気がつき、愛銃を取り出したくなった。
 そんな私たちにライは呆れた声色で言う。

 「せっかく日本に来たんだ。日本を楽しむのは悪くないだろう」

 「別に子供扱いするような人とは行きたくないわ」

 「なら女性として誘おうか。カシス」

 ライは少し声を色のある声色に変えて私の名前を呼んできたので思わず怯んでしまった。

 「一緒に祭りに行かないか。日本の祭りには美味しい食べ物もあるし、金魚すくいやヨーヨー釣り見ていても楽しいものばかりだ。おまけに夜には花火が上がるらしいぞ。浴衣も予め予約しておいたから着ることもできる」

 「ゆ、浴衣」

 「ああ。俺も祭りには久しぶりに行ってみたいからな。もし良ければ行きたいのだが」

 「し、仕方ないから行ってあげる。感謝しなさいよね」

 ツラツラと祭りの良さを語るライにライの言葉にすごくうずうずとした。もともとそれなりに興味があった日本の祭りだ。

 ライが行きたいのなら仕方がない。私が行きたくて行く訳じゃなくこれは貸しを作るためだ。





 そんなルイに聞こえないようにバーボンとライはこそこそと会話をする。

 「ライ。貴方どういうつもりですか」

 「どういうつもりとは?」

 「貴方が本当に少女趣味だったのかと聞いているんです」

 「バーボン。俺はただ彼女が祭りに行きたそうにしていたから連れていくだけだ」

 「本当にそれだけですか」

 「君は俺をどう思っているんだ。子供の趣味なんてない」

 なおも疑ってくるバーボンにライは息を吐いた。

 「そんなに心配なら君も来たらいい」

 「はあっ?」

 「俺はどちらでも構わないが」


 そんなライの提案に安室は一巡して……

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