悪役少女 後
バーボンを庇って生死をさ迷ってから一年と少し経った。
一週間目を覚まさなかったらしいけど今は怪我する前と変わらないくらいまで回復した。
あの後からバーボンとは一回会ったきりだ。怪我を心配してきたけどただ淡々と返したのを覚えている。
「あ、あの。すいません」
私は日本の高校生の制服に身を包み、前を歩く浅黒い男性に声をかけた。
彼は私の声にすぐに振り向くと目を見開いて驚いた表情を浮かべた。
「か、かっこいいなと思いまして。あの、良ければSNSのアドレスを教えて頂けないてしょうか」
顔を真っ赤に染めてそう尋ねれば彼、バーボンはすぐに表情を戻しまるではじめて会ったかのように困ったような顔になる。
「えっとすいません。どこかでお会いしたことがありましたか」
「いえ。はじめてです。ごめんなさい」
私がもじもじと答えると後ろから「◯◯!」と私を呼ぶ声が聞こえた。同級生の蘭と園子だ。
「安室さんこんにちは」
「こんにちは!ちょっと◯◯いきなり走り出して何してんのよ」
「はい、ナンパをしていました」
私は世間知らずな外国人を装い二人へそう告げると蘭は困ったような、園子は呆れたような表情になった。
「安室さんはやめておきなさいよ。競争率がすごく高いわよ」
「そんなことはありませんよ」
「そう言って、お客さんに取り合われてるところ私たち何度も見ましたし。ねえ、蘭」
「えっ、ええそうね」
「えっと。そうなのですか?」
まあ私もあらかじめ調べていた情報で彼が人気があるとは知っていたけど驚いたように装った。
「でしたら残念ですが諦めます。けれど良ければお見知りおきをお願いします」
私はそうバーボンへ頬笑むと、バーボンも本物のような笑顔で、「いえ、僕の方こそよろしくお願いします」と言った。
その次の日、下校のため歩いていると後をつけられているのを察したため私はわざと人気のない道へと入ると、すぐに声をかけられた。
「なぜあなたが日本に?」
分かってはいたけどやはり私を付けていたのはバーボンだった。
「なぜもなにも。私がいるのなんて仕事だからに決まっているでしょう」
「その仕事内容を聞いても?」
「裏切り者を殺しによ」
躊躇いもなく言った私の言葉に察していただろうにバーボンは眉を寄せた。
「ライは僕の獲物です」
「?なんで。そんなの早い者勝ちでしょう」
「ええ、ですから僕の獲物です。けれどなぜあなたはわざわざ高校生として日本に渡ったのですか?裏切り者を始末するだけなら必要無かったのでは?」
「ああ、そんなこと」
私はくだらないと一笑してバーボンへ言った。
「そんなの学生服が着たからったからに決まっているじゃない」
「……へ?」
「ジャパニーズ文化って良いわよね。制服も楽しいし、昨日は宿原でカラフルなパフェを食べに行ったわ。上に乗ったウサギのチョコレートがすごく可愛かった」
「……それは、良かったですね」
「ええ。ああでも仕事はきちんとするわよ。夜はちゃんと成人に成り済まして情報収集に行ったもの」
私は他国に来たってきちんと仕事は忘れない。やることはやっている。
とはいえライは思慮深いと知っているのですぐに見つけられるとも思っていない。長期になることを覚悟しているから学校に留学生として入ったのも一つの理由だ。
目的であるライに会った時のことを思い出す。
あの時はジンが彼を好いていなかったので気になる存在ではあった。それによく子供扱いしてきたのが気にくわなかった。
見つけ次第殺す。今はそれだけだ。
「意外ですね。あなたは脇目もふらず裏切り者を排除するかと思っていました」
「確かに昔はそうしていたけど。目の前にいるのならともかく賢いネズミは本気で見つけようと思うと見つからないものよ。だから私はネズミのいそうな場所で普通の高校生をしながら待っているつもり。私なりに探しながらもね」
少なくともキールのいる可能性の高い首都近郊にはいるはずだと睨んでいる。
そしてあのネズミは怯えて隠れることをしないとも知っている。
「だからこれからよろしくね、安室さん」
私はバーボンを彼の偽名で呼びまるで普通の高校生のように微笑んだ。
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銃の腕は良く大人びているけどずれている夢主。安室のことは年上だけど後輩として見てる不思議な関係。
ここまで書きましたがネタにします。
原作に関わっていくうちにだんだんと安室と仲良くなる。一緒に日本で遊んだりもする。
周りには安室を好きなふりをするけど知っている人がいないと普通に猫を脱いで楽しむ。
徐々に安室に心開きながらも最後は公安だと夢主にバレて銃を向けあって結局夢主は撃てなくて、そんな裏切り者の自分を撃とうとした夢主の銃を撃たれる。
そして夢主を抵抗しないように押さえつけて、「今裏切り者の貴方は死ぬはずでした。けど僕が拾ったので死にませんでした。だから、あなたの命の所有権は僕に移りました。勝手に死ぬことを許しません。それでは、駄目ですか」「あなたを失いたくないんです」って必死に言われる。
安室も最初は恩人でもあるし普通の人へと公正したいって気持ちがあって構うけど、普通の高校生モードの夢主のことが好きになってくるから守るために強引になりながらも自決を阻止する。
でも好きだからと言うことを聞く夢主ではないし業も深いのでので、この後夢主も「私はあなたのことが嫌い」と言ってせめてもの償いに自分への思いを断ち切らせるために動く。
結局自分も安室も殺せずに帰り、その後に実は夢主の親は組織に殺されたことを知る。
親も組織の一員だったけどとある裏切りをして夢主だけは逃がすつもりだったけど殺され、結局夢主も捕まり組織に組み込まれた。
それを知ったことを知られた夢主は追われる身になって逃げる。今までの経験から逃げるのは得意なのでコナンによる黒の組織解体まで逃げ続ける
安室の方は夢主を心配しながらも必死に黒の組織を潰すために暗躍し続け、終わった後夢主を探す。
けど見つからなくてふと立ち寄った海辺で休憩していると「こんなところでお一人ですか?」と後ろから声をかけられる。
安室は苦笑して「なるほど。本気で見つけようと思うと見つからないものですね」と前を向いたまま言う。
それに後で不服そうな声色で「ネズミと一緒にしないで」と言うと。
「そうですね。あなたはネズミではなく僕の可愛い」
振り向いて優しく頬笑む。
「大切な人ですからね」
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