それはきっと腐れ縁(3/4)

 「・・・・・最近まで俺にもそれが分からなくてね。考えてみたんだ。君はどう見ても普通で、俺の取り巻きより人間として面白い事をしてくれるワケではないし。何に惹かれるのか俺にも分からない。だからしばらくは様子を見ようと思ったんだよ。ちょうど君も忙しかったのか、恋人ができるわけでもないしね。」


 確かにここ3年、私は仕事が忙しくて彼氏を作る余裕は無かった。
 その間に臨也を見かけることはあっても私に無関心なようだったので、もう私に興味が無くなったのだと安心して油断していたのだ。


 「でも、何もしないと君は俺に会いに来ないだろ?それは少し面白くなかった。だから俺は思ったんだ。君が俺に会いに来るようにするために、俺は君の恋の邪魔をする。」

 「はあ?」

 「君がこうやって来ないと、少しだけつまらないからね。いや、別につまらないわけでは無いな。ただ君が来ると面白いってだけで、つまらなくはない。」

 「さっきは面白くないって言ったじゃない。矛盾してる。」

 「そうだね。そこも不思議なんだよ。俺が観察対象としている女よりも君がつまらないのは確かだ。おまけに君が来なくても俺の生活には全く支障が無いし。けど、君が来るのは面白いというのも事実。不思議だね。だから俺は、片暇に君の邪魔をするってことかな。」



 臨也の言う事はまったく筋の通っていない、意味の分からないものだった。
 だけど一つだけ分かった事がある。

 ・・・そうか、今までただの暇つぶしの為に私の恋愛の邪魔をしているということか。


 「暇つぶしとか、ふざけないで!」


 私は思わず怒鳴り、持っていたバッグを臨也に投げたが。臨也は軽々と避け堪えるそぶりも無い。

 むしろ楽しそうだった。


 「やだな〜、ふざけてないよ。」

 「これが、ふざけてなくて何なのよ!」

 「俺は暇つぶしにも全力だから」

 「全力とか、どうでも良いし!気色悪い!」


 私は大声を出したせいで乱れる息を整える。
 本当にムカツク男だ・・。平和島くんに早くどうにかしてもらいたい。私じゃコイツをどうにかできないことは分かっているから、他力本願になってしまうが。
 だいたい、構って欲しいから人の恋路の邪魔をするなんて



 ・・・・・・・・・・・・あ。


 そこで私はあることを思いついた。



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