それはきっと腐れ縁(1/4)
星の瞬く夜の新宿にやってきた私は、そこに存在する一つの事務所の扉を壊す勢いで思い切り扉を開いた。
・・・もちろん私の力では扉はビクともしないが。
事務所に入ると、室内には綺麗に微笑みながら高級感のある椅子に長い足を組んで座る男がいた。私がその笑顔に怒りを増幅させることを分かっていて、ワザとそういう表情をしているのだろう。
本当に気にくわない男である。彼の座る椅子が下から火を噴いて、そのまま宇宙にでも飛んでいけばいいのに。
「い〜ざ〜や〜くぅ〜ん?」
「アイツと同じ事を言うのやめてくれないかな?ウザいんだけど」
私が彼の名前を怒りを交えながら言うと、彼・・小学生から同じ学校だっただけの腐れ縁の男、折原臨也は不機嫌そうにその端正な眉をしかめた。
「そりゃあ臨也が嫌がるから、そう呼んでいるに決まっているでしょう?それに悪いのは貴方だし!」
「へえ、俺何かしたっけ?」
私が彼を睨みつけながら言うと、臨也はきょとんとした顔で可愛らしく首を傾げた。
分からないフリをしているが、こういう時の彼は知っていて惚けているだけなのを私は知っている。
こうやって人をからかってくるこいつは、なぜ私がわざわざ新宿に来たか分かっているくせに・・・分かっているくせに・・・ムカツク!!
「〜〜〜っっ、臨也!また貴方、私の彼氏に何かしたでしょ!?」
「君の彼氏?知らないけど」
「今まで何も問題なく誠実に、それはもう誠実に付き合ってたのよ。それをいきなり、『君とはもう会えない』とか有りえないでしょ!」
「そういう時もあるって。マリッジブルーだっけ?」
「それは女がなるもの!!・・・・あれ、男もだっけ・・・?いや、違うっ、そんな事は今は良いの。とにかう・・・噛んだ!!」
興奮し過ぎて口が回らなかった。それを悔しく思いながらも、笑いながら私を見る臨也を睨んだ。
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