友達以上恋人以上3
それからまだ朝まで時間があるので、私はいまだに臨也と向かい合ってお茶を飲んでいた。
ここまで落ち着いている自分が不思議だったが、おそらくはこういうありえない事に頭がついていけていないからだろう。 事務所に女性の生首があった時もそれなりに驚いたが、正直今の比ではない。
それに悲しい事だが。私は年も取った。
前なら役所の前で朝まで待っていただろうが、今はそんなことをするのも億劫に感じる。
「あー、口の中切ったせいでお茶が沁みる。」
「なら飲まなければいいじゃない。」
「それもそうだけどね。」
臨也は肩をすくめた。
臨也の左頬は私が殴ったので赤く染まっている。
「っていうか普通女の子なら平手で叩くでしょ。拳って・・・」
「何その甘い期待。そんな生易しい事、私がする訳無いじゃない。」
「君って残念だよね。」
「臨也に言われたくないから言わないで。」
はあ、と私は息を吐いた。
先ほどまで彼は自分の事を特別だと言っていた。
本当に特別ならもう少し大事にとまでは言わないが、思いやりを持って扱って欲しい。
そもそも彼が特別でないと言う女の子への対応の方が丁寧で優しいと思う。
彼の特別とは蔑ろにすることなのだろうか?
・・・まあ特別に扱われたからといって私は彼と結婚するつもりなんてないけれど。
「そういえば何年も気になってちょっかい出すのが特別なら、平和島くんも当てはまるね。」
「・・・・・聞きたくも無いんだけどな、その名前。アイツの場合は、向こうから暴力振るってくるんだけど」
「そうされるような事をするからでしょ。そのまえにそれ嘘よね。臨也から仕掛けるの見たことあるし。……臨也の特別って蔑ろにすることなの?」
「アイツの事は特別ではないよ。むしろその間逆。目にも入れたくない存在だから、さっさと消えて欲しい。」
それが、特別なんだと思うけど。
それ以上言っても彼が不機嫌になるだけなので言わないが。
ふと窓から外を見ると、空が白み始めていた。
朝が来るのだろう。
結局寝ずに臨也の事務所で過ごしてしまった。
今日昨日は仕事が休みとはいえ、貫徹はきつい。
・・・・・ってか仕事が休み・・・日曜日!!?サンデー!?
「今日役所、開いてないじゃない!?」
「今頃気がついたの?」
絶句する私を臨也が笑った。
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