エピローグ
事故の後、私は婚姻届を破棄しに行かなかった。
それにより、私は臨也と婚姻をしたことになった。
はじめはその関係に戸惑ったものの、臨也は言ってくれていたように私の望むものをくれた。
憧れであった結婚式は2人だけで挙げた。
そして、私が望んだから子供もできた。
今、私は普通の母としての生活をしている。
てっきり臨也と結婚をしたらそんな平凡な家庭は望めないと思っていたが、臨也は用意してくれた。
…どうやっているのかは分からないが。
私がキッチンで夕飯の準備をしていると、マンションのチャイムが鳴り、鍵の開く音が聞こえた。
マンションの入り口にもセキュリティーがあるので、帰ってきたのが夫だと分かっている。
その音を聞いて子どもは嬉しそうな声を上げ、帰ってきた父を出迎えに行く。
「おかえりなさい!」
「ただいま、××。今日も良い子にしてたかな」
「うん!」
楽しそうに話しながら2人はリビングへと戻ってくる。
「おかえりなさい、あなた」
「うん、ただいま。今日はハンバーグ?」
「××も、まるめるの手伝ったんだよ!」
「そうか、偉いね」
子どもは父に褒められて嬉しそうに、目を細めて笑う。
そんな子どもの様子に私たちも笑顔になる。
平和だ。
欲しかった家族を私は得る事ができた。
私は普通の家庭を願ったから、彼はそれを叶えてくれた。
…でもね、私は普通の家庭で無くなったとしても貴方と一緒にいるつもりだよ。
私も貴方の事を愛しているから。
ありがとう、臨也。
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