つめたい

※流血表現注意



 婚姻届騒動のすぐ後、臨也の家から私は朝早くに自宅へ帰宅するために道を歩いていたのだが。
 しばらく行くと小雨が降り始めた。

 気がつかなかったが空は分厚い雲に覆われていたようだ。


 コンビニに寄って傘を買おうか迷ったが、もう家までそこまで長い距離ではないので濡れて帰る事にした。

 少し雨に当たって頭を冷やしたかったのも理由の一つだ。



 臨也の突拍子の無い行動にそれなりには慣れていたが、今回はまた酷い。



 私はただ、普通に愛し合って結婚して幸せになりたかった。

 小学生の夢は可愛いお嫁さんとか書いちゃうくらいに、結婚を夢みていた。

 だからきちんと恋愛をしたかったのだが、いつも臨也に邪魔をされる。



 だから、最近ではその夢は叶わないのではないかと思ってしまう。

 
 そう思うと悲しかった。


 本当に臨也はなにがしたいのだろう。
 これが、臨也が私を好きだからという理由ならまだ可愛げがあったかもしれないが(それでも気にくわないが)。そんな事はないらしいし。


 また私をからかっているのか。だとしたら、ひどい嫌がらせだ。

 どこか傷ついたように分からないと語っていたのは演技で、ただ私を観察していたのだろうか。


 ごちゃごちゃ考えても彼の気持ちを私が理解できるとは思えない。


 ……とりあえず、今は婚姻届を破棄する事だけを考えよう。









 そんな思考に、夢中になっていたのが悪かったのだろうか。


 私は背後から猛スピードで走ってくる車に気がつかなかった。

 いや、気がついていたとしても私はきちんと歩道を歩いていたので未来は変わらなかっただろう。




 私は、車にはね飛ばされた。



 私を轢いた車は猛スピードで去っていく。


 あの車は轢いたことに気がつかなかったのだろうか?
 



 私が横になるみちが、雨にとけた私の血であかくそまっていく。
 ひどい出血量だ。


 けどなぜだろう、こんなに血が出ているのにいたくなかった。




 だからこそよけいに死をかんじる。
 




 わたしはしぬのかな。




 いやだよ、死にたくない。













 いざや……



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