私と貴方の鍋ぱーてぃー(2/2)

 「うわっ、すごくおいしい。なんで同じ大根なのに私の作るのと、こんなに違うんだろ。」

 「へえ。君って、料理するの?」

 「まあ。するけど大雑把な料理だからね。友達とか彼氏には男の料理だって、口を揃えて言われたよ。」

 「ふーん。遥って料理できなさそうなイメージだったよ。意外だね。」


 ・・・まあ、そうだろうな。よく人にそう言われる。ひどい第一印象だと思う。

 いや、・・・・実はできるってギャップが良いのか。私はそれほどのレベルじゃないから通用しないだろうけど。


 「失礼だな。まあ、確かに上手いって訳ではないと思うけど。あ〜、だから料理上手な人と結婚したいな。」

 「遥は旦那に作らせる気なの?」

 「いや、ちゃんと作るよ?けどたまには美味しい手料理食べたくなるじゃない。」


 そんな会話をしながらも鍋に手を伸ばす。
 意外に食べれそうだ、美味しいし。

 ・・・・体重の為に明日は夕食少なめにするけど。


 「けど、鍋なんて突然どうしたの?」

 「俺の知り合いが今鍋やってるらしいから食べたくなった。」

 「ああ、ハブられたんだ。」

 「・・・・・・・」

 「あれ?図星?」

 「うるさい。」


 図星だったようだ。


 「ふっふっふっ、ざまあ。」

 「本当に、君って人の傷をえぐるの好きだよね。」

 「臨也にだけだよ。他の人には私、基本的に優しさでできているから。」

 「・・・・・・腹立つなあ。」


 他の人にも似たような感じではあるけど、ちゃんと思いやりを持って接している。
 嫌われても構わないと思って接しているのは臨也だけなので。まあ、ある意味特別なのかもしれない。


 「でもまあ、臨也がハブられて良かったよ。」

 「は?」

 「だってこうやって鍋を食べられたわけだし。」


 鍋、すごく美味しいし。今日は初めてこの事務所に来て良かったと思った。


 「・・・・・・・・それだけ?」

 「・・・・・・へ?」

 「遥のことだから、何かムカつく言葉が続くと思ったんだけど。素直過ぎて気色悪い。」

 「罵声を期待してたって・・・。やっぱり臨也ってマゾだね」


 そう言ったら顔面に箸を投げられた。

 前言撤回、来なければ良かった




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