ダンス
(ジョージ視点)
催されたダンスパーティでミリアはスチュワート・バックスと踊っていた。
もし、ミリアが誰かと踊るのならバックスだろうと想像はしていたけれど。楽しそうに踊るミリアがどうしても視界に入ると、胃の中がかき混ぜられるような心地がして、俺は自分と踊るパートナーへと目線を落とした。
俺の相手はレイブンクローの中でも特に可愛い一つ年下の女の子だ。俺たち双子はそれなりに女性から人気があるからたくさん誘われていたし、逆に俺たちが誘えば俺たちを毛嫌いしている子じゃなければすぐにOKの返事をもらえた。
今、踊っている子もミリアに断られたすぐ後に誘われて、パートナーを引き受けた。
そう、俺たちを毛嫌いしている子でなければ、簡単だ。
ミリアは俺たちを毛嫌いしているだろう。
彼女はスリザリンだし、多くは謎に包まれている――謎に包まれているといっても魔法使いの家系ではそういうのは珍しくはない――純血の名家。
しかも、俺たちは彼女にスリザリンだからと昔嫌がらせをしていた。
それは可愛いものではなく、俺たちも幼かったから何も知らずに結構執拗にやっていた。彼女はいたずらを簡単に防いでいたから、悔しくて、腹が立って、でも強いからこそやりがいはあって。
彼女はスリザリンだから。と言い訳をしていたずらを仕掛けていた。
けど、スリザリンでも。
ミリアは俺たちグリフィンドールを無視はしても、何かをしてくるわけでも言ってくるわけでもない。
それだけでなくあの時のはたぶん偶然だろうけど、階段を落ちそうになるネビルを助けているのを見た。
ミリアは俺たちに何もしていない。彼女が何かしていれば言い訳だってできただろうけど。そんなことはなく。
今、考えればスリザリンとはいえ一方的に酷いことをしたと思う。
そんなミリアが、俺を毛嫌いしていないはずがない。
それなのに、ダンスパーティーに彼女を誘ったなんて俺はどうにかしているとしか思えない。
断られるに決まっている。それなのに俺はどうしてミリアを誘ったりしたんだ。
今は可愛い子と踊っているはずなのに、なんで俺はそんなことを考えているんだ。
本当はもう分かっているそれでも。俺は、
ダンスを止めて会場から近い庭園の片隅で、ダンスの音楽を聞きながらフレッドたちと一緒にドリンクを片手に四人で楽しく話をしていた時、いきなりフレッドが何でもないように俺に近づくと俺の耳元で囁いた。
早く認めないと手遅れになるぞ
それは突然の言葉だったけど、俺には何を言いたいのかすぐに分かってしまった。
俺と同じ顔でにやにやと笑いながらも悲しそうな目をする片割れに、俺は睨みかえした。
うるさい、もう手遅れだ
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