嘘の日

 「セドリック、私はあなたの事が好きみたいです」

 それは僕がホグワーツの廊下を歩いていた時のことだった。

 本当に珍しくミリアから声をかけられて、2人で話したい事があるからと空き教室に呼び出されたときは何を言われるのか少しの恐怖はあったものの嬉しかった。
 それは好きな子に呼び出されたら誰だってそう思うだろう。 


 異性から呼び出されたときは告白をされたこともあったけれど。まさかミリアから僕に告白なんてありえないと分かっていたからそこに関しては期待なんてしていなかった。
 いや、少しだけそうだったらいいなとは思った。ありえないけど。


 でも、予想とは裏腹に彼女が最初に発したのは冒頭にある言葉だった。
 つまり愛の告白だったわけで。

 僕の答えを不安そうに待つミリアが可愛いなって頭がいっぱいになって、僕は嬉しくてたまらなかった。
 今の僕は世界で一番幸せだろうという自信があった。


 「ありがとう。僕もミリアの事が好きだよ」


 そう答えるとミリアは嬉しそうに微笑んでくれて、そんなミリアの笑顔を見るのははじめてでやっぱりそんな表情も可愛くて、夢なら覚めないで欲しいと思った。


 「覚めないで欲しいのにな」


 ホグワーツの寮のベッドで僕は思わずそうつぶやいた。
 エイプリルフールだからってこんな夢はあんまりだ。




.

[ 155/179 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]