双子1

 (ジョージ視点)


 はじめて俺はミリアを知ったとき、ただ気にくわないと思った。



 俺やフレッドと同学年でありスリザリン生である彼女は、グリフィンドールをまるで存在しない寮のように無視をしていた。
 おそらく他のスリザリン生と同じようにグリフィンドールを嫌悪しているのだろう。


 確かにそんな彼女は何かとつっかかってくる奴らに比べて無害だ。

 だが、存在を無視されるのはそれはそれで快く思えるものではない。


 だから彼女に、まだ幼い俺たちは腹を立てたのだ。


 一年生の中頃から俺たちは彼女にいたずらを仕掛けた。
 けれど、彼女はそれをことごとく交わした。まるで俺たちのちょっかいが無かったことのように、何をしようと無視をした。

 彼女は勉強ばかりしているだけあり、学年で主席だ。(二年生からは次席になったが)
 実践での魔法も優れていたから、俺たちのいたずらをただ軽く防御した。

 まだ仕返しに何かをしてくるのならこちらとしてもやりようがあっただろうが、彼女はやりかえしてくる事さえしない。


 だから、俺たちは彼女にいたずらをして反応を得るために試行錯誤した。

 今思えばいたずらグッズの腕前が上がったのは彼女のおかげも一部あるのかもしれないが。

 その時はただ俺たちは彼女を振り向かせ、存在を認識させたかった。




 それが叶ったのは2年の最後の日だった。

 いつも通りに俺たちは彼女にいたずらをしかけると、はじめて彼女の視線は俺たちに向いた。

 彼女は俺たちへと絶体零度の瞳をこちらへ向け、彼女の方が身長は低いはずなのに見下ろすように俺たちを見る。

 はじめて合った視線に俺は思わず口の端をあげた。
 勝ち負けは無いものだったけど、俺たちの勝ちだと思った。


 けれど、彼女の言葉で口角は下がる事となる。



 「うざいです」


 彼女は俺たちへ一言そう言うと。
 やはり何事もなかったかのように去って行った。




 スリザリン生にそんなことある訳ないのに。

 彼女に言われた言葉で俺は、ひどく、傷ついた。






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