わんわんな話
最近魔法省の私のいる部署に時期はずれの新人の男の子が入ってきました。
そこで私が彼に仕事を教えることとなったのですが、彼がまた人懐っこく「先輩これはどうしたらいいですか?」「なるほど、教えてくれてありがとうございます!」「自分もミリア先輩のようになれるよう頑張りたいです!」となんといいますか、子犬の相手をしているような気がするような新人でした。
とはいえ物覚えも良いですし、明るく、良い子が入ってくれたと思いました。
「今日もあの後輩と一緒にいたね」
「仕事ですからね」
夜、私の家に来た恋人にそう答えました。
今セドリックは居間のソファーで私を膝の上に座らせているので彼の顔は見えませんが、声からしても不満そうな表情をしているのでしょう。
「それは分かっているけど」
「私は職場で恋愛なんて面倒くさいことをするつもりはありませんし。そもそもセドリックがいるのですから何をどうするなんてことはありません」
「けど不安なんだよ。それにあの後輩がどう思っているのか分からないじゃないか」
拗ねるように良いながらも甘えるように抱きしめるセドリックに息を吐きます。
まるでセドリックは大型犬のようです。対抗試合の時のドラコンの課題でも犬を使っていましたし、彼自身を反映しているのでしょうか。
となるとセドリックがアニメーガスでしたら犬なのでしょうか。見てみたいです。
なんて、思考がずれてしまいましたが。
不毛な会話です。
そして残念な恋人達の会話です。
「分かりました」
「え?」
「でしたら、疑われないようにします」
私はいきなり背後へ振り返ると、セドリックをソファーへ押し倒しました。
彼なら抵抗できたはずですが、簡単に押し倒されて下さいました。
目を見開き驚いているセドリックへと軽くキスをします。
「私はセドリックのことが好きです。目移りなんてしません」
押し倒すなんて、自分でしておきながら恥ずかしくて体温が上がりますが、何度も疑われるのは面倒ですし。
ちゃんと信じてもらいます。
「僕もミリアが好きだよ」
そんなことを破顔して言う大型犬が私は好きなのですから。
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ただのバカップル
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