スチュワートと友人 後
(スチュワート視点)
神秘部の中は激しい死闘の最中だった。
死喰い人やホグワーツの生徒、闇祓い、誰もが少なからず怪我を負っていた。
俺はまずシリウス・ブラックを見つけてしまった。
手配書より身綺麗になっているシリウス・ブラックは余裕のある様子でベールを背に杖を構えている。
相対しているベラトリックス・レストレンジはそんな彼に同じく杖を構えていた。おそらく死の呪文がくる。そう思った。
俺も杖を構え、守護霊の呪文を唱えた。
俺の守護霊はミリアと同じ彼女しか知らない変わった鼠の守護霊であった。
守護霊はすぐにシリウスの元へと駆けていく、と同時にベラトリックスの緑色の魔法が放たれた。やはり死の呪文だ。
俺の守護霊は確かに死の呪文を受け止めた、けれど完璧でなかった守護霊は貫通され、緑色の閃光はシリウスの胸へ容赦なく突き刺さった。
その衝撃でベールへと倒れ込むのを横にいたミリアが防いでいたが、俺の世界は無音となったため、見ていても頭が働かなかった。
シリウスが倒れ、それにハリーが駆け寄る。
そして彼は死んだシリウスへと泣き崩れた。
それは俺が一番恐れるものと重なり、だめだった。
俺はその場から一人逃げた。
魔法省を出て、俺は誰もいない真夜中の公園のベンチでうなだれていた。
何度もあの光景がフラッシュバックする。
本当に一人残されてしまう……、その言葉が頭の中で繰り返し流れて考えてしまうと怖くてたまらなかった。
少しすると俺の上に影が落ちた。
目の前にいつの間にかじっとこちらを見るミリアがいた。
ミリアは俺に断りを入れるとそれ以上何も言わずに隣に座った。
まさか彼女が来るとは思わなかったから驚いた。
そして彼女が来たことで、彼女を下手をしたらヴォルデモートに遭遇させてしまっていたことを知った。
危険に巻き込むディゴリーを責めておいて自分だってミリアを危険にさらしている。
来ないで欲しかったと思ったが、それと同じくらい隣に誰かがいるのが温かかった。
だから思わず彼女の手を許可を取り握らせてもらってしまった。ミリアは驚いた様子だったが、拒まなかった。
俺は無事で良かったと伝えると、ミリアは危険にさらした俺のことを友人だと言ってくれた。初めて彼女に友人だと言われた。
その言葉にどうしようもなく胸が苦しくなり気が付いたら彼女を抱きしめていた。
思わず口から出た「失いうのはいやだ」という言葉は聞こえたのかは分からないけど、おそらくは聞こえているだろう。
ミリアは何も言わなかった。
心からミリアと出会えて良かったと思う。
今は寂しいけれど、そもそもそんな彼女をずっと独占できていたことが幸福であった。
彼女は大事な俺の一人だけの友人だ。失いたくはない。
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