可愛いなぁ、と呟いたガイの視線の先にはテレビ。そこに映っているのは生まれたばかりの赤ん坊。
どうやらオムツのCMを観ているらしい妻の表情は笑っているようにも泣いているようにも見えた。
もう血の繋がった家族はいないのだと話してくれた時もそんな表情をしていたのを今更ながらに思い出す。
カーティスの姓になった時も随分長いこと自分の名前を眺め、嬉しそうに笑っていた。

「ガイ、ちょっといいですか。話があるのでここに座って下さい」
自分の座っている隣を指しながら座るよう促し、どうした?と笑いながら隣に腰掛けるガイの手を握った。
「子供、作りましょうか」
言葉の意味を理解出来ずに不思議そうな顔をしているガイの目を見つめたままもう一度同じ言葉を投げかけた。
「あなたがどれだけ家族が欲しかったのか、知っていたはずなのにすっかり忘れていました。すいません」
「そりゃ子供欲しいけど…でも、ジェイド子供好きじゃないだろ?」
「ええ、苦手です。でもあなたが産んでくれるのなら自分の子供を持つのもいいと思えました。これは本当ですよ」
みるみるうちにガイの瞳が潤み握っていた手に力がこもる。俯いたガイの顎の先から涙が零れるのが見えて、ああ、彼女が泣くのを見るのは久しぶりだと苦笑した。

「まったく恐ろしい人ですね、あなたは。この私に子供を欲しいとまで思わせたんですから」
かつての自分からは想像もつかなかったような変化に改めて驚きながらも、不思議と不快ではなかった。
何れ産まれてくるであろう自分達の子供を、その子を抱いて微笑むガイを思い描く。それはずっと自分が欲していたもののような気もして、随分と単純な人間になったものだと長嘆した。

「本当の事を言うともう少しだけあなたを独り占めしたかったんですけどね」
「じゃあ、どうぞ。これから独り占め、して?」
冷たい鼻先が頬に触れ熱く湿った唇が重なる。くちゅりと侵入してきた舌を拒む理由など無かった。

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ようやっと子作り解禁です。



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