ゆっくりと覆いかぶさったフレンの体は燃えるように熱い。
裸の胸が重なると途端にその体温が怖くなる。僅かに怖気付いた俺の仕草をフレンは見逃さなかった。
しなやかで温かな腕が凍えた背中を撫で擦り火照った頬と頬が合わさる。
「好きだよユーリ。隅々まで触れて全部君のものにしてくれ」

フレンの柔らかい唇が自分の薄い唇や瞼に触れる度に胸が締め付けられる思いがした。
渇望していた温もりは眩暈がするほどに熱く、こんな侘しい自分には分不相応に思える。かといってフレンを手離す勇気もない。
覚悟を決めて伸ばした腕がフレンの肌に触れる。ただただ愛おしい温もりに震える吐息が漏れた。

「初めてキスした時のこと、今でもよく覚えてる。まだほんの子供だったけれど君の事が大好きだった。今はあの頃よりもずっと君の事が好きだよ」

俺を抱きとめるフレンは何処までも柔らかい。泣かないでと囁かれ瞼にキスされ、そんなの無理だと思いながらもごめんと答えた。
惜しみなく与えられる熱に愛情に全てを委ねた。俺はこんなにもフレンに許され、満たされている。





僅かに感じた腰の痛みで目が覚める。まるで自分のものではないかのような体はあちこちが悲鳴を上げていた。
未だに何かが入っているかのような違和感は拭えないし、身動きを取ると下腹部が鈍い痛みを訴える。
股関節も背中もどうやら筋肉痛になっているらしい。思うように動かせなかった。

それでも隣でぐっすりと眠るユーリを見ていると体の痛みなんてどうでもいい事のように思えた。
人の体温を感じる事がこんなにも気持ちいいだなんて知らなかった。ユーリの無駄な肉のない完璧な体が自分の体の上に重なる感触。
首筋を這う舌の熱さも、胸にかかる吐息も、引き攣れるような挿入時の痛みですらも愛おしかった。
子供のように泣くユーリを自分の胸に抱き締め、さらさらとした長い髪を撫でる幸せ。
体の隅々まで感じる体温、ユーリの顎から自分の体に滴り落ちる汗の匂い。
自分を見つめる蕩けるような笑顔は息も出来ない程に魅力的だった。

ユーリを繋ぎ止めておけるものなんて自分には何もない。
だったらせめてこの体に夢中になってくれればいい。そうしていつか僕なしじゃ生きていけなくなればいいんだ。
やんわりと襲ってくる眠気を感じてユーリの体に擦り寄う。
寝惚けながらも抱き寄せてくれる逞しい腕が僕の肩に回され、その幸せな抱擁に包まれた。





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