眠い。 小春日和の温かな日差しにうとうととまどろむ。 寝る子は育つ、とは良く言ったものだ。先月の身体測定で計った身長は去年より5センチも伸びていた。 窓際の席でぼんやりと外を眺めていたユーリは校庭で体育に勤しむフレンの姿を見つける。 まるで太陽のように鮮やかな金色の髪は一際目を引く。童顔なのに体はむっちりとして豊満。 魅力的なその外見はユーリの贔屓目を除いたとしても校内で右に出るものはいなかった。 (うん、やっぱり俺のフレンが一番可愛いな。胸もデカいし、何てったってあの顔でエロいし) 妙な優越感に浸りながらフレンの揺れる胸を眺める。そうそう、昨日も俺の上であんな風に揺れて…。 「おい、ユーリ。すごい言い辛いんだけどさ、その…見えてるぜ、キスマーク…」 隣の席のアグエロンが自分の胸元を指しながらひそひそと話し掛けてくる。その言葉にユーリは口の端だけを吊り上げて笑いわざとだよ、と襟元を開いてみせたその時。 「はーい、2人共居残りー」 陽気なはみだし教師の声と共に振ってきた容赦のない拳に2人同時に呻き声を上げた。 「フレン、胸のところ虫に刺されてますよ。痒くないんです?」 着替えの最中にエステルにそう言われ自分の胸元に視線を落とす。 大人しい柄のブラジャーの隙間から僅かに見えるそれは紛れもなくキスマークだった。 途端に昨夜のユーリの濡れた舌と唇の感触を鮮明に思い出し、頬と体がかっと熱くなる。 恐る恐る他の部分にも目を向けると胸の谷間の奥や二の腕の内側にも赤い跡がそこかしこに散らばっていた。 「あ、あのね、エステル…フレンのそれは、その…」 「はい?あ!リタも首の後ろ、赤くなってますよ」 「うそ…っ!?跡付けてないってせんせ…っ!」 「大丈夫ですよ。わたし、虫刺されに良く効く薬持ってるんです!」 ちょっと待ってて下さいねと言いながらその場を離れたエステルの背中を見送りながらフレンとリタは赤くなったお互いの顔を見合わせた。 「その、おめでとうリタ。レイヴン先生とお付き合い出来たみたいで…」 「う…ありがと…後で詳しく話すけど今は虫刺されって事にしといて」 「…そうだね。すぐにでも消えてしまいたいほど恥ずかしいけど、今はそういう事にしておこうか…」 キスマークを虫刺されの跡だと信じて疑わないエステルから塗り薬を受け取り、2人は曖昧な笑顔を浮かべて見せた。 恥ずかしいけれど、でもつい嬉しくなってしまうその赤い跡は自分はユーリのものなのだと主張している様で。 彼だけのものになれだのだと思うと嬉しくて幸せで、やっぱりユーリに抱かれて良かったな、なんて笑みが零れてしまう。 不機嫌そうなリタとは反対に上機嫌なフレンは笑いながらキスマークに薬を塗るのだった。 ---------- リタっちとユリフレは仲良し。 レイヴン先生との関係を知ってるのは2人だけなのです。 |