※生徒リタ→教師レイヴン


「お返しはいらないから先生を頂戴」


俺の胸に綺麗にラッピングされた箱を押し付けながらリタは言った。
その言葉の意味を本人は分かっているのだろうか。純粋な恋心ごと包んだピンク色の紙がやけに目に痛い。


頭1つ分低いリタの顔を覗き込みながら薄い肩を掴み壁際に押しやる。
淡い緑色の瞳が不安そうに翳るのに満足しながら両手を小さな顔の横に置いた。
その小さな空間に囚われたリタはさながら悲劇のヒロイン、或いはお姫様か。
逃げ場のなくなったリタはそれでも健気に俺の顔を見つめている。


その体制のままゆっくりと顔を近付けるとぎゅう、と大きな瞳が閉じられ、大げさに息を詰めるのが分かった。
自分で煽っておいてこの態度。これだから子供は困る。
リタと俺の胸の間に埋まっていた箱を手に取り細い体から離れた。


「そういう事は震えずにキス出来るようになってから言いなさいな」
チョコは有難く貰ってくわね〜、と遠くから手を振ると悔しそうにこちらを睨み上げるリタが見える。
真っ赤な頬を濡らす涙とそれを湛えた瞳だけが夕日にきらきらと反射して綺麗だった。

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2011年VD小説でした。


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