「お2人の馴れ初めを伺ってもいいですか?」
食後に出された紅茶とガイお手製のエッグタルトを皆で突いていた時にフレンが興味津々といった感じで訪ねる。
(心底どうでもいいがエッグタルトはジェイドの好物らしい)

「あ、俺もそれ気になってた。ガイって確かあのファブレ家で働いてたんだろ?」
「そう。ルークとアッシュっていう双子の息子達がいて、仕事はそいつらの子守りが殆どだったけど」
あいつらも今年は小学生になるんだよなぁ、なんて懐かしそうにガイが呟く。
何となくガイの雰囲気が大人びているのは子供の面倒を見ていたからなのだろうか。それだけではないような気もするが。

「分かりやすく言えばナンパですか。ねぇ、ガイ?」
「違うだろ!双子が熱出した時に病院に連れて行ったらいつも診てもらってる先生がいなかったんだよ。その時たまたま通りかかったジェイドが診てくれたのがきっかけ、だな」
「あの時の貴方は今にも泣きそうで、それはそれは可愛らしかったですよねぇ。普段の貴方もとても綺麗ですけれど」

何だこれは。惚気か、惚気なのか。うんざりする俺に反してフレンはきらきらとした瞳で話を聞いている。
「じゃあそれがきっかけでお付き合いを始めたんですか?どちらから告白を?」
「何だか知らないけど双子がえらくジェイドに懐いちゃって、たまに病院に遊びに行ったりしてたんだ。それからすぐ食事に誘われたんだけど最初は断ってたんだよな」
「ええ、何回も断られたので仕方なく双子達にガイと私と4人で食事に行かないかと誘いました。彼らはガイがお気に入りだったので喜んで連れてきてくれましたよ」

いやぁ双子達は実に扱い易かったです、なんて笑顔で言うコイツは悪魔か何かか?
怖い。鬼畜眼鏡超怖い。ガイはこいつの何処が良くて結婚したんだ。俺には目の前の男が悪の化身にしか見えない。

「2回目の食事の時に結婚を前提にお付き合いして下さい、と私から言いました。その時は断られましたけども」
「う…だって数える位しか会った事なかったし、幾ら何でも早すぎるだろう!確かそんなやり取りが1ヶ月くらい続いて、でも付き合ってから結婚までは早かったな」
「そうですね、出会ってから結婚するまで半年くらいでしたか」

「素敵です!お互い短時間で惹かれ合って結婚した訳ですね!」
相変わらずきらきらと瞳を輝かせながら話を聞いているフレン。頼む、誰かこいつらを止めてくれ。俺には無理だ。

「ユーリとフレンだってこのまま付き合っていけばそういう話題も出るんじゃないか?」
「そう、ですね…僕はユーリさえ良ければいずれ結婚したいと思ってます」

おまっ…そういう事は最初に俺に言うもんじゃねーのか?何でそんなにこにこしながらさらっと答えてんだ!
にやにやと笑うガイとその旦那を不思議そうに眺めているフレンに俺は心の中で悪態を吐いた。
後日この鬼畜夫婦から俺は散々からかわれる事になるのだが、それはまた別の話。


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エッグタルトにするか豆腐プリンにするかで迷いました。
フレンちゃんは惚気てるっていう自覚がないのでユーリは超赤面な訳です。


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