手錠の話

■【デプスパ語り】いろいろあって2人が手錠で繋がれてしまいました。鍵はありません。その後の2人について語りましょう。
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……というわけで(★=h)。

■初DPSP。恐らく投稿する上では今年最後です。書き収めではないですがw
それにしてもイマイチ キャラ掴めてない感あります! 書いてる本人は楽しいんです、楽しいんです……
キャラ崩壊キャラ行方不明舞台謎です。無駄に長くなってしまいました
途中途中、壁吹っ飛ばしてデップー話しかけてますが、うん……デップーだからしゃあないね!!!
■デップー視点です ■デプ(→)(←)スパ風味……?






「うんうん、しょうがない。しょうがないよね。小さい子どもはもちろん、立派な大人だって間違いや失敗の一つや二つ、あるだろうさ! ノーベルほにゃらら賞を獲ったなんとか教授だって、テレビ番組で引っ張りだこの人気アーティストだって、誰だってあるだろう。僕だってあるよ? もちろんさ! 降りる駅を間違えたり、言葉の使い方を誤ったりさ。でもほら、それはさ、他者から見ても、なんだか許せちゃうような可愛い間違いーー失敗だろ? 想像してごらんよ、やんちゃな子どもが間違えておもちゃを壊しちゃったり。可愛い女の子が料理作るの失敗しちゃったりさ。ね、なんだか可愛いでしょ?
でもね、君みたいな、僕より年上の大男が間違い犯しても可愛くないの。OK?
更に言うなら、デッドプール。間違いや失敗には、可愛いやつと可愛くないやつの二つの境界線が有ると、僕は思うワケ。
僕がわざわざこんな事言うの、なんでかわかるよね?

ーー今回の『失敗』は、今までのやつより何ッッ百倍も可愛くないから!!!!」

流石 俺ちゃんの愛しい愛しいスパイダーマン!
お喋りな傭兵でも知られてる俺ちゃんが、割って入る隙がないほど、今の台詞には怒りと迫力があったぜ!

《怒ってる姿も最高にキュートね、スパイディ!》
【おい、そろそろこの意識を、スパイダーマンに向けた方が良い。私の予測では、そろそろ第二撃目が……】
「ちょっと! 聞いてるの?!」

おいおい! ちょっとちょっと! 白い吹き出し野郎! スパイディの華麗で強烈なビンタが来るってんなら、もっと早く言ってよねン。彼ったら、俺ちゃんがヒーリングファクター持ってるからって、全然手加減してくれないんだから!
《ウルヴィーにはしないじゃん?》
【奴と私たちでは、彼からの信頼度が違うからな】
ちょっと黙ってろよお前ら!

「……ううーん。二回目の張り手も、サイコーにキいたぜ、スパイディ……」
「うっさい! 君のせいでこうなったんだから、何度やったって僕の怒りは収まんないよ!」

【どうやら今日の彼は、大層お怒りのようだ】
《ワオ! それってハルクと大喧嘩するのと、どっちと怖い?》
「そりゃハルクだろ」
「……ハルクがなに」

ありゃ、声に出ちゃってた? 俺ちゃんたら悪い子、悪い子ッ!

「……ハア……本当勘弁してよ、僕なんかしたかな? 百歩、いや一万歩譲って捕まるだけならともかくさ? なんでこの狂人と一緒なの……?」
「ちょ、それはあんまりなんじゃないの?! 」
「あんまりもクソもないったら! 僕この後用事あったのに、どうすんだよこの状況!」

どうするのって言われてもなー。手錠はスパイディ用に作った特製品だから、何しても壊れないしー? 鍵は排水溝に流れて行ってお魚の餌になってるしー?
【おい、そろそろ画面の向こうの奴等にも状況を教えてやらんと、きっとウィンドウを閉じるか、前のページに戻してしまうだろう】
あ? めんどくせーなー。まあ、俺ちゃんのこのオイシイ状況をお前等に知ってもらうためにも、教えてあげよっかなあー?

ゴホン! ……説明しよう!
みんな大好き、俺ちゃんことデッドプールは、大好きなスーパーヒーローのスパイダーマンに一服盛ろうと、彼の自宅に不法侵入……もとい無断入室させてもらった! 【なんか違いあったか? 今の】
薬は安心安全のJAPAN製、一定量を越して摂取すると、下半身の息子が元気になる……まあよくある媚薬ってヤツ! うまい具合に設定されたこのお薬。同人展開てやつだネ。
それなのに、こーゆー計画は、いっつも未遂で終わっちゃうの。オチは何時でも、スパイディの可愛いお手手と綺麗な御御足でボッコボコ、っていうオチ。俺ちゃんは存在しない前回前々回を読んで予習済み、ってな具合よ!
そして! 今回こそ、俺ちゃんはこの計画を遂行する!
10tの重さを耐え切れるスパイディの身体に合わせて、大枚はたいて作っちゃいました!
名付けて、『ハルクに千切れそうで千切れないかっこ かもしれない かっことじスーパー手錠』!
《よっ、大統領!》
【言ったまんまだな】

うっせーな。
まあそれは置いといて。
そんなこんなで、怪しいお薬と最強の手錠(ちなみに手錠の作り方とかは企業秘密な☆)を手に入れた、最凶 俺ちゃん!

スパイディは夜のパトロール中で外出中。暗闇でひっそりと息を殺し、一人 時を待つ……。
【この時点で、手錠の鍵は排水溝行きだ】
《スパイディに掛けた後は、必要ないもんねッ》

そして時は来たッ!
開いた窓から、華麗に舞い戻ってきた子蜘蛛ちゃん!
俺はその細い手首に手錠をーー

「あいっかわらずお喋りだね? デッドプール。誰に話しかけてるか知らないけど、気持ち悪いからヤメテ。それとも無意識なの? ほとんど口に出てたよ」

マジかよ!

「で、君の計画はこんな形でおじゃんになったわけだけど。鍵捨てちゃったんだ、初耳だよ?」
「ああん、スパイディ! そこも聞いちゃってたのねン。でも大丈夫よダーリン、アタシ今すごく幸せ!」
「気持ち悪いったら。それにねハニー? 君はハッピーでも、僕は今、すっごくブルー」

俺ちゃんの右手首、スパイディの左手首には、超ゴツくてイケてるアクセサリーが着いてる。鎖で繋がれたペアルック! 驚くなよ? これ、スパイディでも壊せないんだぜ!

「スパイディが壊せないんなら、俺も壊せないかんね」
「ああ、そうだろうね」

ありゃりゃ、ご機嫌ナナメ。いつもよりツンツンしてる。
だって吃驚したんだもん。スパイダーセンスが働いてたみたいで、部屋に戻ってきた途端に、まるでわかってたみたいに俺に向かってウェブを発射!
俺ちゃんヤバイ! これは一方的にボコられるパターンだ、って思ったけどそれは今までの経験と傭兵としての知識で補って、正常を取り戻す。
《俺ちゃん達に正常なんてあんのかな?》
敵(俺ちゃん)の視界を封じ、安心し切っているターゲット。その油断を突き、いつもの五月蝿い気配を押し殺して近づく。けれどそこでもスパイダーセンスが発動! 暴れられちゃったわけよォ!

んで、お互い予想し得なかった行動をした、俺ちゃんとスパイダーマンは、程なく二人して暴れて回った。ハッて気づいた時には、ステキな手錠が、そりゃもうがっちり、お互いの手首に一つずつハマってた訳よ。

「ああー……。もうどうすんだよ。こんな狂人と一生を繋がれて生きるなんて、無理。たとえそれが僕だとしても」
「ひっどーい、スパイダーマン! それがヒーローの言うことかよ!」
「事実でしょ、馬鹿!」

怒ってる姿も最高にキュートな子蜘蛛ちゃん、俺ちゃんそろそろ、君の笑顔が見てみたい!
【マスクに隔てられてわかりにくいけどな】
《マスクありでもキュートってことデショ? どんなスパイディもだいしゅき!》

「大体さあ、ハルクでも壊せないって舐めてんの? そういう知識をもっとこうさあ……。……ねえ、手錠もといこれの鍵の設計図とか、ないの」
「あるわけないじゃーん! あっても見せないけど」
「ホント最低」

おいおいスパイディ、溜息は吐いた分だけ不幸になっちまうんだぜ!? もったいねェ。
って思ってたら、あら。俺ちゃん今の台詞、口に出してはないよな?
スパイディったら、可愛いお目目でこっちをギッと睨んでるわ!

「……大体さ。君は困んないわけ? お風呂も一緒、寝床も一緒、トイレも一緒なんだよ? 僕は死んでもお断り」
「ワアオ! なあにソレェ、俺ちゃんだったら、その生活大歓迎!」
「………」

多分、今日吐いた溜め息の数は、スパイディの過去最高記録なんだろうな。
再び息を吐き、無言になった小蜘蛛ちゃん。

「………」
「まあまあ落ち着けよ! 最強の手錠が作れたんなら、外すことだってできるはずだって!」
「………」

まあ出来ないけどね!
繋がれた右手首と左手首を持ち上げ、小蜘蛛の眼前でブラブラと揺らす。
そしたら突然、スパイディは繋がった俺ちゃんの右手首を掴み、さっきスパイディが帰ってきた窓へと歩み始めた!

「ちょちょ! ハニー? いっくらなんでもそれはやり過ぎだと思うぜ、いや俺ちゃんなら落ちても死なないけどさ。今やったらハニーごと下に落ちちまうって!」
「は? 何言ってるの」
「ほへ? このアパートから落とされるとか、そういうんじゃないの?」
「Ah……やってほしいならやってあげるけど?」
「遠慮しますゥ」
【どうやら勘違いだったようだな】
《俺ちゃん、こういう時に使う単語、この前知ったんだぜ!『杞憂』ってやつだろォ》

狂った脳内で繰り広げられる、狂った会話を無視して、さっと浮かんだ疑問を投げかける。

「じゃあなんだ? あっ、もしかしてこれから二人で、夜の摩天楼デートォ?!」
「違うよ!」

ちぇ、違うのかよ!
スパイディは今だぐいぐいと手首を引っ張りながら続ける。

「作れたんなら壊せるって、これの製作者様が直々に言うもんだからさ。いっそトニーに頼んで、壊してもらおうと思って」

じゃら、と鎖が音を立てて、存在を主張する。その音にぼけっとしていた脳内も俺ちゃんも、ハッとなって現実へと戻ってきた。
あのアル中鉄男に?!
この現状見られでもしたら、今度こそ消し炭になっちまう!
【消し炭になっても生き返るなら、いいじゃないか】
うっせーよ馬鹿。生き返れても、痛覚はちゃんとあることくらい、手前でも知ってんだろが。

「ええー……。やめようぜスパイディ、鋼鉄の輪っかで手首を繋がれた人生、悪くないと思うんだけどなぁー、俺ちゃん!」
「そう? でも僕、そんな早く人生終わらせるつもりは無いからあ」

ほらだから行くよ、とスパイディな向かい側のアパートの壁にウェブを放つ。
俺よりも細いのに、とんでもないパワーを持つ腕は、あっという間に俺ちゃんを抱えて窓枠に乗っかった。
あ、今 お前等、抱えてってところで変なの想像したろ! 姫抱っことか! 【してないだろ】 もう酷いのこの子ったら、俺のこと荷物みたいにッ! 小脇に抱えてるんだから!

「なあに? 文句あるなら、ただ単にウェブで君の身体を簀巻きにして、荷物未満みたいなやり方で運ぶけど」
「あぁん、スパイディったらイケズゥ」

いよいよ諦めて、大人しくスパイディの『小脇に抱えられる』。
今にもニューヨークの空に飛び出るぞ、って時に、小さく小さく、小蜘蛛が何かを呟いた。

「……たの……」
「ん? スパイディ、何か言った?」
「……なんで手錠だったの……?」

いやいやいや、スパイディは俺ちゃんが何しようとしても、まず最初に暴れて阻止しようとするじゃない。

「だってスパイディ暴れっから……」
「いっつも暴れるとは限らないでしょ!」

……オイオイ、なんだなんだァ?
《さっきと様子が違うね?》【おい見てみろ、彼の吹き出しを! まるで私達の脳内のように混沌としているぞ】
ありゃ、本当だ。滅多にあーんな風にならないのに!
でも俺ちゃん達の腐った脳内みたいにごちゃごちゃじゃない。読むのはすんげー簡単。単語はほぼ一つ!
『馬鹿』だからだ!

「Hey you! 馬鹿なんて酷いじゃない、いきなりどったの」

スパイディの頭上付近から、どんどんどんどん出てくる白い吹き出しを盗み見ながら、どんどんどんどんどんどん……
いやいや、出過ぎじゃね?
『馬鹿』『馬鹿』『馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿』『馬鹿馬鹿』『本当、馬鹿』『ばか』『馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿』『バカ』『本当に馬鹿!』
馬鹿がゲシュタルト崩壊しそうだ!
『バカ』『バカばかバカ馬鹿馬鹿馬鹿』
『馬鹿馬鹿馬鹿』
『ばか』
『阿呆』
『馬鹿』
『どうせ左にくれてやるなら、ーー』
『馬鹿』
……ん? なんだ今の、幻聴?
いやでも、これはスパイディの脳内の吹き出しじゃん。幻聴なんであり得ない。これがこの作者の間違いじゃあ無ければ! じゃあ何だ、今の!

「デッドプール、どうせまた『読んで』るんでしょ? さっきからうんともすんとも言わない」
「あ、分かってた? んん? じゃあ……ん? スパイディ、さっき読めたアレは、まさか本心?! もしそうだったら、俺ちゃん百万回くらい死ねるぞ!」
「百万回てデッドぷ「百万回もお手伝いすることは出来ないが、一回くらいなら手伝ってやるぞ、変態め」……あ」

二人きりの会話に割り込む不届き者。赤と金で配色された鉄男を視界に捉えた瞬間、その以降!! 俺ちゃんの記憶は残念ながら無い!!
《またこーゆーオチ?》
【もうこれは我々の様式美と言っていいな】
ああもう最悪だ!!

*・*・*

朝日通り越して、お空高く登っている太陽の温度を感じながら、俺ちゃんは身体が徐々に治っていくのを感じた。
なんであの男があのタイミングで現れたのか、考えたくもない。が、多分スパイディが言ってた用事ってのが、あのトニー=スターク絡みの用事だったんだろう。そしていつまで経っても来なかったスパイディを気にして、あのタイミングで現れた……と。
【まったく過保護な男だ】
《スパイディ取られちゃった!》
右手首に巻きついてた筈の輪っかは、いつの間にか無くなっている。
治りかけている身体の感覚から考えるに、俺ちゃんの頭を吹っ飛ばした後、多分……いや絶対あのアル中鉄男が! 俺ちゃんの手首を切り落としてとったんだ。

【まあ、そりゃあ外れるよな】
《キチクだぜ、キチク!》
「まあまあ落ち着けよお前等。まずはさっき聞きそびれたアレだろ、アレ!」

完全に身体も感覚も治ったのを見計らい、腰のポーチに入れていたスペアマスクを装着。
あの後すぐ、二人揃ってどっかへ行ってしまったんだろうか。俺ちゃんはスパイディの自室に、放置されたまんまだった。
つまりだ!
俺ちゃんはここで、小蜘蛛ちゃんの帰りを優しくてイケてるダーリンのように待つも良し!
小蜘蛛の居そうなところに目星を付けて、白馬の王子様のようにお迎えに上がるも良し!

【それよりもまず、宝石店じゃないか?】
《チョーいい感じの買おうぜ! 金ならある!!》
「Shit! 俺ちゃんとしたことが忘れてたぜ!」

あっ、お前等勘違いすんなよ! ここまでは序章ってやつよ! はあ? なんの序章かって? オーマイガッ! お前等それでも、ここまで読んだクチかよ? 俺ちゃんけっこー恥ずかしがり屋なんだから! 察して欲しいね。
俺ちゃんたちは強盗しに行くわけじゃねえ。ふっつーに買い物行くだけ! なんてたってこの街には、とんでもないヒーローがいるからな。
俺ちゃんの心ってやつを掴んで離さない、すんげー可愛くてかっこよくて親愛なる隣人の、小蜘蛛ちゃんが!

*・*・*

トニーと約束していた昨夜の食事は、まあ一応 平和に終わった。
何かと心配されたけど、家に置きっぱの課題に手をつけないとならない。
それらしい理由をこじつけて、なんとか帰らせてもらえた。
昨日大変だったことと言えば、あの狂人に何をされたんだーとか、この手錠全然壊せないーとか。そういう話はいっぱいしたことくらい。
なんとかあの忌々しい手錠は外れたから良いけど、もう二度と体験したくないかな。
でも、もう大丈夫。
空気読めないあの男も、今度こそ空気を読むんじゃないかな?
だから今日は何としててでも帰らなくちゃ。まだあそこに居るのかな? 探しに出てるかも。それとも、小さくて綺麗な手錠でも買いに行ったかな。

「本当 馬鹿でしょ、どうせ左にくれてやるならさ」

ーー薬指にくれればいいのに!



今年最後のメイン更新なので。
良いお年をー(2014.12.29)
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