君にべたぼれ宣言

■リヴァイ(三十路)×小3くらいのショタエレン 現パロ
■もはや犯罪臭がするとかそういうレベルじゃない。アッ、別にやましいことはしてません(目線明後日)!
■リヴァイおじさんとショタエレちゃんは少し遠い親戚同士。ショタエレちゃんの両親は都合で二、三年海外にいなくちゃならない
■正直 途中でたるくなって会話とかしかしてない

↓そんな感じでよければどうぞ!






高級感溢れる黒を纏ったそれ。時々コマーシャルでも放映されるこの有名な自動車は、一介のサラリーマンでは到底手を出せないような代物だ。
傷一つない黒は、そのままマンションの地下駐車場へと降りて来る。やがて車はゆったりとした運転に切り替わり、中にいる運転手が手慣れた手つきで停車を行う。
やがてエンジンの音が止まり、車内から一人の男が出てきた。
この車の持ち主であることが納得できるような、立派な服装をしている。きっちりと着こなした、埃一つ目立たない黒いスーツは、彼の潔癖症を表しているようだった。
リヴァイは己の右手を持ち上げ、そこに嵌められたこれまた高そうな腕時計を確認する。時刻は午後八時。今日は早めに打ち上げられた。右手を下ろしながら、まだ車内に残っていた荷物を取り出していく。
会社の鞄。明日、久々のオフの間に片付ける資料の入った紙袋。スーパーで買った食材。ーーそして、部屋で待っているだろう子どもに与える、プレゼント。
一人で持つにはなかなかの量だ。それをリヴァイは手際良く、荷物を確認しながら持ち上げていく。
最後に車内を確認してから、リヴァイは漸く、自分の部屋へと帰ることができるのだ。
ちなみに今まで見ていればなんとなく分かるだろうが、彼の住むマンションは、都内でも有名な高級マンションである。

*・*・*

オートロック式それを解除し、エレベーターで上へ上へと登って行く。自分の住居のある階で、開のボタンを押した。扉の前に立つ。そしてつい一ヶ月前までは別段必要のなかったその言葉を放った。
「ただいま」
途端にリビングから元気のよい走り音が響く。
聞き慣れたそれに、リヴァイは一度ふ、と笑って、靴を脱ぐために足音が聞こえてくる方向に背を向けた。重たい荷物をフローリングに乗せる。どさり、と重量を表す音が鳴った。
リヴァイの身長に似合わない、大きな革靴のとなりには、子ども用の
スニーカーがちょこんと置いてある。元々小さなそのスニーカーが、余計小さく見えた。
リヴァイは、目の色に合わせて買ったという、子どもの両親の言葉を思い出しながら、彼の言いつけ通りにきちんと揃えられたスニーカーを確認して、己もきっちりと靴を整える。
そこで立ち上がろうとしたのだが、ちょうど背中に抱きついて来た小さな存在に、それを阻まれてしまう。
「リヴァイさんっ! おかえりなさいッ」
子ども特有の高い声がリヴァイの後方から聞こえる。リヴァイは呆れたようなため息をついて、首にまとまりついた細い腕をそのまま立ち上がった。
きゃあ、と楽しげな声が響く。
「リヴァイさん力持ちー!」
「力持ちーじゃねえよ。スーツにシワがつく。さっさと飯の準備するぞ」
「了解です!」
見事、エレンはリヴァイの首に絡めていた腕を離すと、そのまま床に着地した。とすっ。体重を表す軽い音。
そして床に置かれていた荷物の一つを持ち上げ、リビングへと走って行く。
走るなと言っても聞かないこの子どもに、もうそんな注意をすることなど忘れた。リヴァイは残りの荷物を持ち上げながら、今日も深いため息をつくのだ。

*・*・*

子どもサイズの可愛らしいエプロンが視界のはしに揺れた。
少年の着るエプロンの中央には、男の子を中心に人気を集めているアニメの絵がでかでかとプリントされている。
確かそのアニメは、巨人とかいう怪物を撃退していく、子ども向け番組としては割とアクションが手のこんでいる、明るめのアニメだったはず。リヴァイの記憶では。

男の子を中心に。そのことはエレンとて例外ではなく、彼が買ってやったそのエプロンを大切に使っていた。
しかしそれとは違い、リヴァイは黒一色のシンプルなエプロンを着こなしている。きちっとしたスーツは脱いで、眩しい白いワイシャツの上では、それはとても映えた。
「エレン、手は洗ったか」
「はいっ!」
「よし。じゃあ卵をこのボウルに落とせ」
「はい! リヴァイさん、今日のごはんはなんですか?」
「ハンバーグ」
「……!」
自分の好物の名を言われ、エレンは途端に目を輝かせる。それを傍目にリヴァイは先程買ってきたハンバーグの食材を袋から出していく。
元々彼は潔癖症ゆえか、ハンバーグのような、手を使ってこねたりしなければならない料理が嫌いなのだが(というかエレンがいなかった最近まで、料理を自主的にしていなかった)、エレンが来てからは、だんだんとそういうものを作るようになっていた。
というのも、エレンの食べ物を一生懸命に食べる姿が好きだからなのだが。
もちろんそんなこと他人にも、子どもといえどエレンにも言える訳がない。そんなことを考えながら、リヴァイは挽肉をボウルに入れる。エレンは手がまだ小さいので、必然的にこねるのはリヴァイ担当だ。
汚れるがまあ仕方ない、と妥協しているようである。
しかし卵を割るくらい、さっさとしてほしいと少し思うのだが、卵を割るのに悪戦苦闘している エレンに、リヴァイは気の抜けた笑みをこぼした。

ぱきゃ、という音ともに卵の黄身が落ちて来て、それに纏わりつくように白身も落ちていく。珍しく殻を巻き込まずに割って見せたエレンは、自身も驚いたらしく目をぱちぱちささせている。
「……なに驚いてんだ」
「き、綺麗に割れた……!」
「……ああ、良かったな」
言葉とともに頭を撫でてやれば、にぱと屈託のない笑顔でエレンは笑った。
それに犬に対しての感情というか、既視感のようなものを感じながら、リヴァイは漸く、肉をこね始めたのだ。
「エレン、俺が肉こねてる間にトマト洗ってくれ」
「はあい。今日のお野菜はトマトとなんですか……?」
「人参とブロッコリーだ。……湯も沸かしといてくれ」
エレンの表情が歪む。小さく人参、と呟いた。
ああそういえばコイツは人参が嫌いだったな。リヴァイはボウルに胡椒を足しながら、次に続くだろう言葉を待つ。
「……おれ、人参きらいです」
案の定、といったところだ。
「強い男になれねえぞ」
エレンの腕には人参が一本抱かれていた。なんだかんだ言って準備しようとするところは、この少年の良いところでもあるのだろう。
それを一瞥しながら、ほとんどこね終わった挽き肉から手を離し、シンクへと移動する。
その後ろを付いてきたエレンは、手を洗いながら鍋を準備するリヴァイを定位置から眺めた。
ちなみに定位置というのは、シンクまで手が届かないエレンのための、作りのしっかりした台の上のことである。
「強い男って、リヴァイさんみたいな人のことですか?」
「……お前がそう思うならそうじゃねえのか」
「……! じゃあ食べます!」
どういう基準だ、お前の「男らしい」は。
内心疑問に思いながら、少年の眩しい金色に見つめられるのは悪い気にはならなかった。

*・*・*

「ごちそおさまでしたっ」
「ごちそーさん」
二人の皿は空っぽだ。綺麗に完食された野菜にリヴァイはうむと満足げに頷いて、エレンの分の食器を持って席から立ち上がった。また、その後ろにエレンがひょこひょこと付いてくる。
先程と同じ様に、リヴァイはシンク、エレンは定位置について。
「明日はお休みですか?」
「ああ。資料の整理があるがな」
「またエルヴィンさん?」
「そう、あいつだ。悪い野郎だな」
「エルヴィンさん悪い奴ー!」
エルヴィンというのはリヴァイの上司だ。
「……まあ、頑張りゃ午前中には終わる。終わったら買い物行くぞ」
「何買うの?」
「お前の服。ガキの成長は早いからな……」
「やったあ! リヴァイさんありがとう!」
「……悪くない」
がばり。エレンが皿洗いの邪魔にならない程度に抱きつく。
動揺してかちゃん、と皿どうしがぶつかって鳴った。

蛇口のバーを下ろす。それに伴って放水も止まって、リヴァイは漸くといったようにため息をついた。
その隣で子どもは、自分の歯ブラシを操りながら歯を磨いている。皿を洗っている間にやってこいと、彼が命じたからだ。
「よしエレン、口開け」
「あいっ」
「喋らんでいい」
リビングのソファへと移動し、毎日リヴァイがいる時だけ実施される歯磨きチェック。まずエレンが自分でやって、最後にリヴァイが仕上げ磨きとチェックを施す、といった親子にありがちな一風景だ。
あー、とよく見えるように大きな口を開ける少年の顎を、ずれないよう男は抑えながら、歯ブラシで奥の方や歯の裏側を重点的に磨いていく。
二分程経って、満足したのかリヴァイはうがいをさせる指示を出す。また律儀に返事をして、相手は洗面所へ駆けて行った。
己も歯を磨こうと、今度は彼がエレンの後ろを追って洗面所へ移動する。エレンはエプロンと同じ柄がプリントされたプラスチックのコップで口をゆすぎながら、リヴァイの為に洗面所のまえから退く。
良いから先に済ませろ、とリヴァイが目線で訴えれば、二三度ゆすぎ吐きを繰り返し、エレンは見計らったかのように渡されたタオルで口元を拭う。ぷはあ。やっと一息ついたかのような吐息だ。
「歯磨き終わりました! リヴァイさん!」
「ああ。ほら、いーってしてみろ」
「いー」
「うむ……まあ良いか。次はあー」
「あーっ!」
前歯、奥歯と視線を動かし、ここでリヴァイからの許しが出れば歯磨きチェックはお終いだ。
「よし。じゃあ寝巻きに着替えてこい」
「はいっ」
合格の意を受け、寝室へと駆けて行く。
よくあれで転ばないな。存外わんぱくな子どもを尻目に、己の歯ブラシにミントの強い歯磨き粉をチューブから絞り出した。
自分が磨き終わった頃には、またここに来るだろう。リビングに置いたままのプレゼントのことを思い出しながら、リヴァイは明日の予定をその優秀な頭で組み立てている。

時計の短針はもう、夜中十時を示していた。子どもにとってはもう眠くて眠くてたまらない時間帯なのだろう、エレンは自分の布団に潜り込みながらもう何度も瞼をこすっている。風呂はリヴァイが帰って来る前に、いつも済ませているから問題はない。
明日は休日だからといって割と風邪になりやすいエレンに、夜中遅くまで起こしとくのは得策とはいえない。それ以前に、リヴァイはエレンを寝かしつけたあと、風呂に入って月曜日のプレゼンの確認を、さっさと済ませなければならないのだ。
もう半分、夢の世界へと誘われているエレンの腹あたりをぽんぽんと優しく叩きながら、リヴァイはエレンの隣に寝転んだ。
「……きょう、またジャンがばかにしてきた……」
「そうか」
「だからね、おれ、りばいさんのいいつけまもって、なぐりあいじゃなくて、かけっこでしょうぶしたんだー」
「ほお? それで?」
「おれがかってね、ジャンすげえくやしがって、た……みせたかったなあ」
「そうか。お前走るのは得意だもんな」
「……うん、……」
「……もう寝ろ、エレン。明日起きれなくなるぞ」
「……はい、おやすみさな……ぃ」
リヴァイさん。
ふにゃ、と眠る直前の力の抜けた笑みを一つ。
すー、っと規則的な寝息を零す子どもを確認して、起こさないようにと慎重に上体を起こした。

エレンの両親は今、海外にいる。父は有名な医者で、その腕を買われいま世界中を飛び回っているのだ。母親のほうは、芯の強く立派な女性で、夫を支えるために、と同じく夫ーーエレンの父親と行動を共にしていた。
しかしこの小さな子どもはどうする? 愛おしくて大事な我が子。どうせなら一緒に暮らしたい。が、連れ回すのは気が引ける。慣れない環境で元々不安定な健康が崩れてしまうかも。
そこで白羽の矢がたったのがリヴァイだ。
少し遠めだが親戚で、一人暮らし、かつ生活は安定しているし、エレンの通う小学校にも近い。何より、頼りになる。
そこで両親はリヴァイにエレンをと預けたのだ。リヴァイは最初こそ反対したものの、珍しく相手の熱意に負けて、了承の返事を返した。リヴァイの親のせいもあるのだが、そこは割愛しておこう。
時間とは早いものだ。自分が思っているよりはずっと。
かれこれ一ヶ月前のことである。
子供なんて面倒くさいことこの上ない。
エレンの茶色い髪を梳きながら、そう思っていた時期を思い出す。
けれどあの日から。リヴァイからしてみれば、自分はエレンに少し、いやかなりぞっこんなのである。
そ、梳くのをやめて極力音を立てないよう立ち上がった。エレンの死角になるよう置いておいた紙袋。の中身がエレンへのプレゼントだ。別に誕生日だからではない。そもそも彼の誕生日はまだ先だ。店先のショウウィンドウで飾られいた。これをエレンにあげたら喜ぶだろうか。そう思っていたら、いつの間にか買っていた。それだけだ。……もう戻れない気がする。重症だ。
あんなに邪魔だと思っていたガキが、いまはこんなにも、愛しい。
がさり。紙袋からプレゼントを取り出す。
男の子にあげるには些か可愛すぎな熊のぬいぐるみ。首には赤いリボンが結ばれている。サイズは結構でかい。エレンくらいの子なら抱き枕にはできそうなサイズだ。
そして、それを静かにエレンの横へ。
やはり自分の思ったとおり、この光景は愛らしかった。
「おやすみ、エレン」
最後に一撫で。
眠っているエレンが、はい、と言った気がした。

*・*・*

ーー『俺が今日からお前の世話をする、リヴァイだ』

ーー『はいっ! 俺はエレン・イェーガーです!』

ーー『……部屋とかは中に入ってから説明する。何か質問あるか?』

ーー『………』

ーー『……? おい、ガキ……、エレン?』

ーー『リヴァイさん、あのアニメの兵長さんみたいっ! かっこいい!』

ーー『………』

あの日から、ずっと。



翌朝、エレンがぬいぐるみを持って、朝食の準備をするリヴァイに抱きついた。嬉しい嬉しいと笑って礼を言うあどけない少年に、今日もリヴァイは心奪われるのだ。



君にべたぼれ宣言

「このぬいぐるみの名前は兵長にします!」

  



こちら の素敵なお題サイトさまから、お題をお借りしました!
最後の方すこし急ぎすぎて変になってしまった……\(^o^)/
リヴァイさんとショタエレンちゃんの日常ほのぼの+リヴァイさんがエレンちゃんにベタ惚れが書きたかったので。満足といえば満足です(笑)
ただ、私にもっと文才があれば……

ショタエレンもっと増えろおおおおおぉおおおおうぅううおおおおおおおおぉぉお
(2013.05.12)
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