日常 | ナノ
90日目(金曜日)

今日は今更ながらの大発見をしてしまった、かもしれない。金髪美女が言っていた「しんすけ」という人はもしかしたら眼帯のお兄さん、かもしれないのだ。全部憶測だから全く違う可能性もあるけれど、お店で聞いた会話が昨日のお兄さんの状況と似過ぎていて他人とは思えなかった。

と、いうのもお昼頃に来店してきたいつかの金髪美女が店内の休憩所で「もーーー!せっかくの宴なのに主役が途中で居なくなるってなんなんスか!?」と叫んでいたのだ。盗み聞きはいけないと思いつつも狭い店内で会話は筒抜けだったし、宴とか途中で抜けるとか覚えのある単語ばかり飛び出てきてついつい意識がそっちに向いてしまった。隣にいた男性に「無粋な詮索はおやめなさい」と嗜められていたが金髪美女は気にせず「先輩は女が原因だって言いたいんすか?けど昨日は抜けてから1時間もしないで帰ってきたし不自然っすよ」と大きな声で話を続けていく。「たしかにいくらなんでも早すぎましたね…」「でしょ」「…それか…これは憶測でしかありませんがしんすけ殿はかなりのそう…(この先もなんか言ってたけどレジに入ってしまって聞き取れなかった)」「は?んなわけねーだろ撃ち殺すぞ死ね」と私が聞き逃している間になんだか不穏な空気を匂わせる2人。金髪美女が男性の額に二丁の拳銃を突きつけていたように見えたがこれはさすがに幻覚だと信じたい。

それから先も「しんすけ様、最近ちょっと変っすよ…突然訳わかんない土産持って帰って来たり急に大量の扇風機買って来たり…これはめちゃくちゃ快適だけど…プレゼントうれしいけど…」と眼帯のお兄さんを思わせる発言を続ける金髪美女。彼女が嬉しそうに顔に当てている小型扇風機はうちで売っていたものに酷く似ていた。訳わかんない土産は…多分私が渡した宇宙土産のことだろう…そうか…端から見たらあれは訳わかんない土産に見えたのか…失礼なことを…してしまった…謝ろう……

と、とにかく以上のことからも眼帯のお兄さんの名前は「しんすけ」さん説が濃厚だ。だからなに?と思わないこともないけど、お兄さんの謎が1つ解明された気がしてちょっとうれしい。お客さんってだけなら知らないままでもいいけどお兄さんとはそれなりに会話をする機会もあるから名前くらいは知っていても罰は当たらないはず。甘すぎる?名前を言えないくらい高貴な人だったらどうしよう。ありえる……

そうだ、次どこかでお兄さんに会ったらまず最初に私の名前を言おう。名乗っていい身分の人だったら流れで教えてくれるはず。……うーん、この流れすら少ししたら忘れてそうだな。覚えてる間に会えたらいいな。さ、寝よ。




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