日常 | ナノ
1日目。知らない星に来た。
(ifです。ツイステとのクロスオーバー)

今日は色々なことがありすぎて気持ちの整理がつかない。いつもの時間に起きて、いつものように働いて、いつものように退勤した。神楽ちゃんにあんまんを奢ったり、坂田さんに10円を貸したり、疲れてる中島くんに栄養剤を渡したり、特に変わらない1日だったとおもう。家に帰ってからも変わったことはしていない。駄々をこねる兄の代わりに蔵の掃除をしたり、庭の作物に水をやったりと基本は普段通りだ。寝る前に日記を書こうと思ってそれを開いたところまでは覚えている。そこから先の記憶は朧げで、気がついたら全く知らない場所にいたのだ。

喋る猫や鏡。手から出る炎や謎の光線や首輪。空中に浮かぶ棺。洋館。目覚めてから目にしたものは初めて見るものばかりで。ここがかぶき町でないことだけは明らかだった。……もしかして、異世界?いやいや光に包まれたとかそんな大層なこともなかったのに目が覚めたら異世界にいましたなんてそんな恐ろしいことがあってたまるか。どうしてそうなったかはわからないけど何かの手違いでどこかの星に飛ばされてしまっただけだろう。

とりあえず脳内店長が「貴重体験を自分史に残したらいいよ」って笑ってるからからそうしよう。落ち着け、私。

正直いまこの瞬間も夢なのでは?と思いたいのだけど隣にはグリムと名乗った猫が腹出して爆睡してるし、これを書いてる机は今にも崩れ落ちそうなほどボロボロだし、なんか窓の外にお化けっぽい白い物体が浮いてるし、試しに頬を引っ叩いてみたら痛いし現実なのは間違いないみたいだ。それは受け入れよう。

落ち着いて考えてみると変なことばかりだ。今着てるこの服だって何?いつもの地味な着物じゃなくて見たことがない洋装。サイズがぴったりだけど採寸した記憶もないし着替えた記憶もない。グリムは初対面の時に「その服を寄越すんだぞ!」と言っていたけどこれってそんなに価値のある服なの?私は着るものなんてなんでもいいしグリムが欲しいならあげたいけどサイズがなぁ…替えの服もないし…

というか、グリムって何者なんだろう。青い炎を出してお化けを追い払ってくれたときは本当に頼もしかったな。天人の一種?学園長もどことなく人間離れしているし多分あの人も天人の一種だろう。入学式?とやらにいた男の子たちも揃って見知らぬ技を使っていたし天人ぽい。ここは不思議な力が使える天人がたくさんいる星なんだな。

こうして日記に書いても自分のおかれてる状況はさっぱりわからないけどなんだか気持ちが落ち着いてきた。慣れない場所では慣れたことをするに限る。

とにかく私は明日からナイト…なんたら…学園…?に雑用係として滞在して、衣食を賄いつつ元の世界(星だよね?)に帰るための情報を探さないといけないらしい。訳もわからず連れて来られたのにどうしてこんなことに…とは思うけれど、野放しにされるのが一番困るので贅沢は言わない。汚いことを除いたら広くていいところじゃないか。居ついてしまっているお化けのことは…グリムに任せよう。

疑問は尽きないし、不安もある。だけどグリムはこの学園に滞在できることを喜んでいるみたいだしとりあえず良しとするか。グリムはこの学園に入りたい!って思いだけで頼りもなくここまで来たらしい。グリムの話を聞いて「すごい。グリムってかっこいいね」と伝えたらちょっと照れていて、その姿がすごく可愛かった。地球に帰る方法も勿論だけど、グリムだけで入学できる方法も探してみよう。よし、明日に備えて今日はもう寝るか。


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