001

※少しずつ今の宮姉に近づいてきた感…
※まだ治は姉ちゃん呼びしてない
※お風呂一緒に入るのが恒例化してない様子なので今よりも姉弟間の距離がきちんと保たれてました



台風は今夜には関西に上陸する予報になっとる。
確かに外の雨風はだんだんつよなってて、窓とかガタガタ言いよるようになった。

「なあ、なまえちゃん部屋におらんのやけど」
「リビングにもおらんの?」
「おらんかった。風呂に入っとる様子もあらへんし…」
「えっ、まさか外出たんとちゃうよな?」
「いやさすがにそらないやろ、台風来とるんやで?」
「でも家の中におらんのやろ…?」
「そうやけど…」

俺とサムの間に嫌な沈黙が流れる。

「「なまえちゃん!?」」

二人してダッシュで玄関に向かった。
いつもあるはずのなまえちゃんの靴が見あたらん。
嘘やろ、ほんまに外出たん!?

「ちょっと!あんたらどこ行くん!?台風来るで!?」
「オカン!なまえちゃんが外出てもうた!」
「俺ら探し行ってくるわ!」
「何言うとんの、お姉ちゃんなら今雨戸しめてくれとるからすぐそこにおるでしょ」
「はっ…?」
「雨戸…?」

掴んだビニール傘を片手にぴたりと立ち止まる。
すると玄関のドアが開いて、ぶわっとふきこむ雨風と共にレインコートを着たなまえちゃんが中に入ってきよった。

「はあ、風すごい強かったぁ」
「なまえちゃん!」
「あれ、侑くんと治くん何しとるん?」
「こっちのセリフやで!こんな日に外出たらあかんやんか!なんか飛んできたらどないするん!?」
「オカンも雨戸しめんならなんで俺らに言わへんのや!?」
「なんべんも言うたでしょうが!そんでもあんたらがゲームやめへんから、お姉ちゃんが行ってくれたんやないの!」
「えっ、まじで…?サム、聞こえとった…?」
「いや知らん…」

じとりと睨んでくるオカンから目をそらした。
後ろでなまえちゃんがプチプチとレインコートのボタンを外しとる音が聞こえる。
よく見ればなまえちゃんの前髪は雨で濡れとったし、風にふかれたせいで乱れとった。

「なまえちゃんにやらせてもうてほんまにごめん…」
「次から俺らが雨戸しめんから…」
「二人とも心配してくれてたんやね」
「そんなん当たり前やん」
「なまえちゃんになんかあったら嫌やし」

俺とサムがそう言うと、なまえちゃんはありがとうってふわりと笑った。
その笑顔に俺らもやわらかい気持ちになる。
ほんまになまえちゃんが無事でよかった。

「なまえ、レインコートそこ置いといてええから先にお風呂入ってあったまり?ほら、侑と治はいつまでそこおんの!邪魔やからどき!」
「へいへい、今どきますぅー」
「なまえちゃんの次俺風呂入るわ」
「ああ?何勝手に決めとんねん」
「ツムは昨日なまえちゃんの次入っとったやん、今日は俺に譲れや」
「昨日は昨日、今日は今日やろが」
「ごめんね、ほんまは二人も一番がいいよね…?」
「なまえちゃんは気にせんでええんやで?お姉ちゃんファーストや」
「せやで、俺ら弟はあとでええねん」
「お姉ちゃんファースト…ふふっ。侑くんも治くんも優しいね、ありがとう。うちのお風呂がもう少し大きかったら、一緒に入れるんやけどね」
「「えっ」」

どえらい爆弾発言を落としてったなまえちゃんは靴を脱いできちんとそろえると、そのまま風呂場に向かいよった。

「なまえちゃんガードゆるゆるやん…」
「ゆるすぎて心配なるわ…」

あとでオカンに風呂でかくしてくれ言うたら、あんたら双子の食費だけでいくらかかっとると思っとんのってキレられた。




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