まんまとハマってしまってさ



「なまえ姉、ほんとにごめん。マジで死ぬほど不本意なんだけど、このバレーしか脳がない脳筋バカ男に日本史教えてあげてくれる?」
「おい、俺のこと罵りすぎやろ」

日本史で赤点をとった侑が勉強を教えてくれと泣きついてきたから(ちなみに次回赤点をとると二週間部活禁止で補習受講となる)本当に仕方がなくなまえ姉のクラスにこの男を連れて来た。
なまえ姉は勉強ができる人だ、俺が今回の日本史で高得点をとれたのはなまえ姉のおかげである。

「わたしでよければ力になるよ。どこでお勉強しよっか?うちに来てくれてもいいけど…」
「それはダメ、絶対にダメ。やるなら図書室にしようよ」
「なんで角名が決めてんねん。お前赤点とってへんから関係ないやん」
「侑がなまえ姉に変な気起こさないように俺も色々考えてるんだよ。あと勉強中は俺がそばで見張るからヨロシク」
「変なことなんてするかッ!お前じゃあるまいし!」

こうして翌日から昼休みの時間を利用して、侑の勉強会が始まったのだ。





「ほーん、なるほどなぁ。ちゅうことは、俺が間違った問題はこれのこと言うてたのか」
「うん、そうなの。侑くん、飲み込みが早いね。バッチリだよ」
「フッフ、俺もしかしたら日本史得意なのかもしれへんなぁ」
「昨日まで日本史クソすぎるって喚いてたヤツがよく言うよ」

ひとつ言っとくけど、侑がすごいんじゃなくてなまえ姉の教え方が神がかってるおかげだからね

俺も教えてもらっていた身だからわかるのだが、なまえ姉は人に勉強を教えるのが本当に上手い。
相手の理解レベルに合わせて内容をよく噛み砕いて説明してくれるし、褒め上手でもあるから気持ちよく答えを解かせてくれるのだ。

「いや〜なまえちゃんほんまありがとぉ。この調子なら次は良い点とれそうやわ」
「なにナチュラルになまえちゃん呼びしてんの?あとタメ口やめろ」
「ふふ、気にしてないから大丈夫だよ」
「本人がこう言うてるんやからええやん。角名はいちいちうるさいねん。あ、なまえちゃんライン交換せぇへん?何かあった時に連絡できた方がええと思うし」
「うん、いいよ。わたしのラインは…」
「待った待った、なまえ姉今すぐスマホしまって。侑もほんとそういうのやめてくれる?なまえ姉に用がある時は俺を通してくれないと困る」
「はあ?いやこっちが困るわ、めんどくさい。なんでお前が間に入んねん、それじゃプライベートな話もできへんやん」
「しなくていいわ、なまえ姉がお前と話すことは何もねーよ」

それからなんとか侑となまえ姉が連絡先を交換するのを阻止して、今日の勉強会は終了となった。
また明日もこういうことが起きるのかと思うとうんざりするが、大切ななまえ姉を守るためであるから仕方がない。

「侑くん、また明日ね」
「こちらこそ、またよろしゅう。今度デートしよや〜」
「侑、今日の部活は後頭部に気をつけた方がいいよ」
「いや冗談やって。ほんま怖いわこの男〜」

侑はヘラヘラ笑っているが、俺はイライラしていた。

冗談でもなまえ姉に手ェ出すなよ

…って意味も込めて、部活では侑に思いきり後頭部サーブをぶちかましてやった。



まんまとハマってしまってさ




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