親愛なるあなたに永遠の愛を誓う



部活中、自分のバレーシューズの紐が切れそうになっとることに気づいた。
だから替えの紐を買わなあかんと思って、部活終わりにスポーツ用品店に足を運んだんや。
サム達はマクドに行く言うてたから、途中で別れて今は俺1人。

「おお、このシューズええな…」

シューズの紐を買いに来ただけなんやけど、スポーツ用品店っちゅうのは誘惑がすごい。
新品のシューズとかウェアは俺の目にはキラキラしたもんに見えて、どれもめっちゃ欲しくなる。
でもな、スポーツ用品ってけっこうええ値段すんねん。
俺はバイトしてへんし、毎月の少ない小遣いじゃ贅沢な買い物はできんへんし…。

「ツムくんはそのシューズがほしいん?」
「んーデザインはかっこええんやけど、うちのバレー部は指定シューズでみんなで合わせとるしなぁ………って、なまえちゃん!?」

ナチュラルに返事してもうたけど、なんか知らん間に俺の隣になまえちゃんが立っとったから、ほんまのほんまにびっくりした。
え、なんでなまえちゃんおるん…?

「なまえちゃん、ここで何してはるの…」
「ちょっとね、買いたいものがあって」
「買いたいもの…?ここスポーツ用品店やけど、なまえちゃんの欲しいのなんかあるん…?」
「ううん、わたしのじゃなくてツムくんとサムくんのやから」

俺は目を瞬かせる。
そんな俺を見て、なまえちゃんがにこりと笑った。

「この間の大会、ほんまに優勝おめでとう」
「えっ」
「お祝いにね、2人に何かプレゼントしたくて色々お店を見てまわってたんよ。でもなかなか良いのを見つけられなくて…」

結局ここまで来ちゃった、と困ったように八の字に眉尻を下げたなまえちゃん。
そのあったかすぎる思いに俺は思わず目が潤んでしもた。
だってな、あん時の大会は稲荷崎なら優勝して当たり前みたいなもんやったんやで。
せやから優勝やって言うても別に感動せんかったし、俺らが目指しとる場所はもっと高いところやから、こんなんで喜んどる場合とちゃうって思っとった。
みんなそういう目で見とる、試合に出とる俺らでさえそういうつもりでおった。

でもやっぱ、おめでとうって心から祝福してくれる人がおるのは嬉しいやんか。
よくがんばったねって褒めてくれる人がおるのは嬉しいやんか。
それらを俺のことを一番に見ていてほしい人からもらえたんなら、これ以上幸せなことはあらへん。
ああ、バレーボールやっててよかったって思うんや。

「ほんまは内緒で買おうと思ってたんやけど、バレーで使うものってどれがいいか難しくて、選ぶのに時間かかっちゃいそうやったからツムくんがいてくれてよかった。ツムくんのほしいもの、お姉ちゃんに教えて?」
「なまえちゃん、なんでそんな優しいん…!?泣いてまうやろ…!」
「えっ、泣かんといてツムくん…!」

そのあとボロボロ泣きはじめた俺を心配したなまえちゃんがハンカチで涙を優しくぬぐってくれた。
ほんでなまえちゃんが言うてた優勝祝いのプレゼントやけど、もともと必要やったシューズの新しい紐とこれから寒なる時期に練習着として使える長袖トレーナーをサムと色違いで買ってもろた。
ええなぁと思っとったバレーシューズは稲荷崎のバレー部におる内は使えへんから、今回は見送りや。

「ねえ、ツムくん。まだ先の話なんやけど、ツムくんが高校を卒業する時になったら、お祝いに新しいバレーシューズをお姉ちゃんからツムくんに贈らせてね」

会計を済ませたなまえちゃんがスポーツ用品店から外へ出た時、俺に振り返ってそう言った。
なまえちゃんは俺が高校を卒業してもバレーを続けるとわかってくれてて、応援もしてくれとるんやなってことが胸にジンジン伝わってきた。
嬉しくて、幸せで、やっぱりこの人が大好きやと俺の命が叫んどる。

「なまえちゃん、ほんまにありがとう。俺、もっとバレーうまなってこれからもいっぱい勝つで。ほんでまた一等賞をなまえちゃんに持ってくるから、楽しみに待っとってな」

俺はバレーボールが好きや。
そのバレーボールで笑顔にしたい人がここにおんねん。
俺の大切な人、俺の愛しい人。

今日もこれから先もずっと、俺はあなたを愛していくと誓います。




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