夢中になればなってゆくほど感じるよ



また、見とる。

「日向くん…!頑張れ…!」

なまえちゃんは俺の出る試合をリアルタイムで見れない時は録画して後でちゃんと見てくれる。
ここが良かった、すごかった、かっこよかったって俺のこといっぱい褒めてくれるけど。
もちろんそれはむっちゃ嬉しいけど。

でも…

「わぁ…!日向くんすごいすごい…!」

ちょおっと、翔陽くんのこと見すぎちゃう???

ぶすぅっとふてながらなまえちゃんの座るソファーの空いている所に腰をおろした。
テレビ画面を真っ直ぐ見ながら白熱しているなまえちゃんににじり寄って、わざと肩をくっつけて少し体重をかけてみる。

「…なまえちゃん」
「日向くんほんまに速くて目で追うの大変…!」
「〜っ、なまえちゃん!!」
「わっ!なに?えっ、重い重い…!」

もう怒った俺は、ぐぐぐ〜っ!と思いきり体重をかけてなまえちゃんに寄りかかった。
俺の重みに耐え切れなくてぽすん!とソファーに倒れ込んだなまえちゃんが目を丸くしている。
その上にのしかかっている俺はぶうっと頬を膨らませてなまえちゃんを睨んだ。

「どうしたの…?」
「どうしたの、ちゃう!なまえちゃんのアホ!」
「ええっ…?ツムくん、なんで怒って…」
「なまえちゃんのせいで怒っとんの!」

日向くん日向くんって、翔陽くんばっかやん!
なまえちゃんは俺のお姉ちゃんやろ!?
弟の俺のことだけ褒めてくれなきゃ嫌や!

フーフー怒りながらなまえちゃんに俺の気持ちぶつけたら、なまえちゃんはきょとんとした顔でぱちぱち数回瞬きして、そして「ふふっ」て急におかしそうに笑いだした。
な、なんで笑うん?俺怒っとるのに…!

「ツムくん可愛い。やきもち妬いちゃったんやね」
「!ば、バカにせんといて…!俺はほんまにっ…」
「バカにしてないよ。愛おしいなって思ったの」

にこって優しく目を細めて笑ったなまえちゃんが俺の頭をぎゅっと抱き締めた。
自然となまえちゃんのぽよぽよの胸に顔を埋めてるみたいになって、たまらない気持ちになる。
おっぱいやらかい好きっ…ええ匂いする好きっ…
ぐりぐり〜って犬みたいに甘えてなまえちゃんの胸に顔を擦り付ける。

「私の一番はツムくんだからね」
「ん…もちろん一番じゃなきゃ嫌やけど、俺だけにして。2番も3番も作ったらあかん、俺だけや」
「ふふ。うん、そうやね。ごめんね、嫌な気持ちにさせちゃったお姉ちゃんを許してくれる?」
「ん〜、ほんなら今日は俺が甘えても許してや?」
「ツムくんはいつも甘えんぼな気がするけどなぁ」
「え、ええの…!俺弟やし…!」

またおかしそうに笑っているなまえちゃんに、恥ずかしくなりながら唇を尖らせて拗ねる。
すると、ちゅっとキスされて「して欲しそうな形してたから」と唇を指でちょんってつつかれた。

「うぅ〜…好きぃ〜…」
「ふふっ。私も好きだよ」

今日も俺はなまえちゃんに完敗である。



夢中になればなってゆくほど感じるよ




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