毎日のひとつひとつ、今に繋がった



なまえ姉はお姉ちゃんだからかあんまり弟の俺には頼らずに何でも自分でできてしまう人だ。
だからたまに、

「倫くん、お買い物付き合ってくれる?」
「!行く、付き合う」

こうして俺に声がかかるとめちゃくちゃ嬉しい。
例えこれが荷物持ちだとしても嬉しい。
なまえ姉の力になれるならなんでもやるよ。

「今日はね、卵のタイムセールがあるの」
「タイムセール」
「オムライス作りたいから頑張ろうね!」

エコバッグを片手に張り切って近所のスーパーに向かうなまえ姉の隣を歩きながら思わずキュン。
ちゃんとタイムセールチェックしてるの家庭的な奥さんって感じがしてなんか良い。
そしてセールに共に駆り出された俺はつまり旦那。
もう夫婦じゃん。早く結婚しよ。

だが、俺はタイムセールを舐めていた。
卵売り場を前に愕然とする。
なんだあの人だかり…集まってるのは全員主婦。
しかもどの主婦も目がマジだ。
間もなく始まるセールを前に臨戦態勢状態である。

「え…なまえ姉、あの中に行くの…?」
「?そうだよ?」
「いやいやいや危ないから…!ケガするって…!」
「でも行かないと卵は買えないの。それがタイムセールなの。お買い物はね、戦いなんだよ」

腕まくりをして、よし!と気合いを入れてる。
そんな細い腕で戦うとか無茶すぎ。
ほんとダメ、絶対ダメ、行かせられない。

「なまえ姉、俺が行くからここで待ってて」
「え?」
「俺が卵とってくる。いくつ欲しいの?」
「えっと…お一人様一点だけど、今日は倫くんもいるから2パック買えるの」
「わかった、2パックね」

俺はカートをなまえ姉に預けて、いざ戦場へと向かったのだった。





「倫くん、大丈夫…?」

ゼェゼェ息を切らしながら、ボロボロになってなまえ姉の元へなんとか生きて帰還した俺。
卵2パック奪取、無事成功。
主婦達に押し退けられて何度も売り場から弾き出されたし、押されて潰されて揉みくちゃにされたけど、ギリギリ手に届いて卵も割れずに済んだ。

「主婦怖すぎ…」
「よしよし、よく頑張りました」
「もっと褒めて…」

うなだれる俺の頭を撫でてくれるなまえ姉にぎゅっと抱き着いて、いっぱいよしよししてもらった。



毎日のひとつひとつ、今に繋がった




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