幸せならそれでいい
「はい、なまえ姉。ここどうぞ」
一人分のスペースを空けたベッド。
シーツを片手でぽんぽんとしてなまえ姉を呼ぶと、なまえ姉は優しげに微笑んで「ありがとう」と俺のところに来てくれた。
そして、ころんと横になったなまえ姉を背後から抱き締めてギュッとする。
うん、これこれ
このサイズ感と柔らかさがたまらないんだよね
「ねえ倫くん、今度抱き枕買いに行く?」
「抱き枕?なんで?」
「だって倫くんいつもお姉ちゃんにくっついて寝てるから、あった方が良いのかなと思って」
あー…なるほど、そう言うことか
「いや、抱き枕はいらないよ。なまえ姉がいるから必要ない」
「でも合宿とかお泊まりがある時はどうするの?お姉ちゃんはついて行ってあげられないんだよ?」
「合宿だと練習がキツすぎてほとんど気絶するみたいに寝てるから大丈夫だよ」
「そ、そんなにキツい練習なの…?お姉ちゃん、それはそれでちょっと心配なんだけど…」
眉尻を下げながら首だけ捻って俺の顔を見つめてくるなまえ姉。
俺はそんななまえ姉にすり、と頬擦りをしてもう一度「大丈夫だよ」と言った。
抱き枕なんて必要ない。
だってなまえ姉じゃなきゃ意味が無い。
俺が本当に安心して気持ち良く眠れるのは、なまえ姉がこうしてそばに居てくれる時だけなのだから。
「本当にいらないの?」
「うん、なまえ姉が居てくれたらそれで良い」
「倫くん…」
「だからこれからもずっと俺と一緒に寝てね」
俺がそう言ってお願いをすれば、なまえ姉はやんわりと困ったような顔で「もう、しょうがない子ね」と優しく笑ってくれた。
幸せならそれでいい