03



サムと息を切らせて2年の教室まで走って来たは良いが、教室には肝心のなまえちゃんが居なかった。

「ああ、宮さんなら今日は保健委員の仕事があるからって保健室に行っとるで」
「なんやと!?」
「保健室!?」

なまえちゃんのクラスの人が教えてくれたから、俺とサムはまた走り出した。
お互いを押し退け合いながら、ぎゃあぎゃあケンカして保健室の前へ。
ガラッ!と勢い良くドアを開けると「ドアの開け閉めはお静かに」と言って振り返ったなまえちゃんが俺らの顔を見た途端に、驚いたようにきょとんと目を丸くした。

「ツムくんにサムくん?どうしたの、ケガでもしちゃったん?」
「〜っ、なまえちゃんっ…!」
「姉ちゃんっ…!」
「えっ、わわっ…!ふ、二人ともほんまにどうしたの?」

約2日ぶりのなまえちゃん。
写真なんかじゃなくて、本物のその姿を見たらもうたまらなくなってしまって、なだれ込むように保健室に入ってなまえちゃんに抱き着いた。
サムと一緒にぎゅうぎゅうに。

「なまえちゃんが家におらんから、俺メシも喉通らんくてっ…!」

バッ!となまえちゃんの顔を見上げてそう言った瞬間に、ぐるるるると盛大に腹が鳴った。

「嘘やで。ツム、昨日の晩メシおかわりしとったもん。むしろいつもより食うてたわ」
「ち、ちがっ…!あれはヤケ食いやねん…!」
「あと姉ちゃんのアルバム見てニヤニヤしとった」
「なっ…!おま、なんでそれ言うねん…!」

羞恥と怒りで熱くなる俺の顔。
これでなまえちゃんにまで変に思われたらって焦っていると、くすくすと小さく笑うなまえちゃんの声が聞こえてきて俺は目を丸くした。

ぱちっと目が合えば、柔らかく微笑みかけられる。

「ツムくんはお姉ちゃんが居なくて寂しかった?」
「う、うん…それはもう、むっちゃくちゃ…」
「ふふ、そっか。ごめんね、寂しい思いさせちゃって」

なまえちゃんが俺の頭を抱き寄せて、優しくギュッと抱き締めてくれた。
ぽんぽんと髪を撫でられると胸があったかいのでいっぱいになって、思わず泣きそうになる。

けど、俺の腹は全く空気が読めていなくて。

ぐるるるる

「………」
「さっきから喧しい腹やなぁ」
「ふふっ」
「わ、笑わんといてや!しゃあないやんっ、寝坊してもうて朝メシ食ってないんやから…!」
「そうだったの?それはお腹空いちゃうね。お昼、一緒に食べよっか」
「!うん!」
「弁当、ここで食うてええの?てか、先生は?」

中を見渡しても、保健室の先生が居ないことに首を傾げるサム。
なんでも、先生は外で昼食をとっているのだとか。
だから今日は保健委員のなまえちゃんが先生不在のこの時間、保健室の留守を任されているらしい。

ほえー、となまえちゃんの話を聞きながら椅子に座って机の上に弁当を広げる。

「ばあちゃんの腰はもう平気なん?」
「うん、二日間安静にしてもらったからね。無理に重たい物とか持たなければ大丈夫だと思う。一人だと心配やけどおじいちゃんもいるし」

なまえちゃんとバレーの次に気になっていたばあちゃんの腰も問題なさそうで安心した。
今度は俺とサムも一緒にじじばばの家に行こうと思う。
もちろんなまえちゃんも一緒に。

だってなまえちゃんと離れるとか無理やもん

俺、なまえちゃんおらんとなーんもできへんし

「なあなまえちゃん、今日は俺と一緒に寝てや」
「は?ズルいやろ。俺も姉ちゃんと寝たいし」
「サムは明日にすればええやろ」
「ツムこそ明日にすればええやん」
「こらこら、言い合いしないの。今日は三人で寝ようね」
「えっ、三人で…?」
「三人は体痛なるなぁ…」

なまえちゃんの提案に若干顔を引き攣らせる俺とサム。
でもお互いに譲ると言う選択肢は無いのだから、結局俺らは三人で寝ることになるのだろう。

まあでも、今日ぐらいはええか




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