01

※中1の侑と中2のお姉ちゃん



この土日、なまえちゃんは腰を痛めたばあちゃんを心配して、泊まりがけで隣の市にあるばあちゃんちに行っていた。
俺とサムは大会前で休みでも部活の練習がきっちり入っていたから一緒には行けなくて、2日間もなまえちゃんと離れて過ごすことになってしまったわけだ。

そしてこれが思っていた以上にしんどかった。

「なあオカン、なまえちゃんまだ帰ってこぉへんの?もう19時やし、遅すぎると思うんやけど…」
「何言うとるの?お姉ちゃんは明日まで帰ってこぉへんよ」
「はっ…!?な、なんで!?明日って月曜日やで!?学校は!?」
「なんでって、月曜日の朝はおばあちゃんの家から学校行くって言うてたじゃない。忘れたん?」

そ、そやったっけ…?

ガーンとショックを受ける俺と呆れた顔をするオカン。
てっきり今日には家に帰ってくるものだと思い込んでいたから、俺はまたなまえちゃんの居ない夜を耐えて過ごさねばならないのかとひどく落ち込んだ。

うう、なまえちゃんに会いたい…

「寂しかったね」ってぎゅってして欲しい…

トボトボと部屋に戻って、机の引き出しから一冊のアルバムを取り出す。
ラグの上に体育座りをしてペラリとページをめくると、後ろからサムがそれを覗き込んできた。

「また見とるし」
「…何やねん、あっち行けや」
「それ姉ちゃんのアルバムやろ、いつまで持っとんねん」
「俺がオカンからもろたんやから別に持っとってもええんですぅー」
「はあ?ツム、お前…さすがにキショイぞ」
「うっっっさいわ!」

サムの足に蹴りを入れて、アルバムを守るようにぎゅっと抱き締める。

うちのオカンとオトンが撮ったらしいなまえちゃんの幼少期から最近に至るまでの写真達。
俺とサムのアルバムもあるけどこの一冊はなまえちゃんオンリーで、俺はこれを見つけた時、ものすごい宝物だと思った。
だってどのページを開いてもなまえちゃんしかいない。
見てるだけでにやけてしまうし、幸せな気持ちになる。
だから俺はこのアルバムが欲しくなってしまって、オカンにめちゃくちゃ頼み込んだのだ。
そして、絶対に失くさない・汚さない・大事にすることを約束して頂戴できた代物なのである。

まあ、オカンも俺がなまえちゃんのアルバム欲しいって言い出した時は引いた顔しとったけど…

「はー…なまえちゃんかわええなぁ…むっちゃ天使やなぁ…」
「ひとりごとうるさ」

アルバムを眺めながら、なまえちゃんに会えない寂しさをこれで癒す。

でもなんでやろ…

寂しい気持ちがあんまし消えへん…

笑っているなまえちゃんの写真を見ていると、胸のところがきゅうっと切なくなって、この日の夜はいつまでも寝付けなかった。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -