02
「倫くん、おはよう」
なまえ姉の優しい声と朝食の匂いで目覚める朝。
毎日、一日の始まりに大好きな人の顔を一番に見られる幸せ。
この先もずっと、なまえ姉と迎える朝は永遠に俺のものだけであって欲しい。
顔を洗って、制服に着替えて、なまえ姉が作った朝食を食べる。
部活の朝練がある俺のために早起きをして、ちゃんと朝食の用意をしてくれるなまえ姉には本当に感謝だ。
俺の体の全てはなまえ姉の手料理によって作られ、支えられていると言っても過言ではない。
「はい、これは倫くんのお弁当」
「いつもありがとう、なまえ姉。今日の昼は一緒に食える?」
「うん、大丈夫だよ。お天気良さそうだし、中庭で食べよっか」
にこりと笑うなまえ姉に俺も表情を緩めてひとつ頷く。
本当は毎日一緒に食べて欲しいけれど、なまえ姉にも友達付き合いがあるから無理強いはできない。
でもなまえ姉のことがやっぱり心配になるから、定期的になまえ姉の周囲をチェックするようにしている。
だってなまえ姉に変な虫が寄り付いたら大変だ。
だから俺と言う存在がいることを分からせておかないと。
「教室まで迎えに行こうか?」
「それだと倫くんが大変になっちゃうよ」
「なまえ姉のためなら全然平気だよ」
「ふふ、ありがとう。でも本当に大丈夫。ちゃんと忘れずに行くから」
「忘れる心配はしてないけど…」
「遅れそうな時は連絡もするから」
「…まあ、なまえ姉がそう言うならわかったよ」
しょうがない、と肩をすくめて今回は諦めることにする。
できればなまえ姉のクラスの様子も確認しときたかったのだが、それはまたの機会にするとしよう。
「倫くん、部活頑張ってね。行ってらっしゃい」
「うん、行ってきます。また昼休みにね」
玄関まで一緒に来てくれたなまえ姉が小さく手を振って見送ってくれる。
今日も朝から可愛いなまえ姉にキスしたくなる衝動をなんとか我慢しながら、俺も軽く手を振り返して家を出た。
学校へ向かって歩き出してすぐにスマホを取り出し、ラインを開く。
ブサカワなキツネが大きなハートを抱えているスタンプをなまえ姉に送った。
少しして既読がついた画面に続けて、キュンです!とセリフの入ったウサギのスタンプが送られてきた。
俺の方こそキュンです