名前変換なし
今日も平和なかぶき町。
空も高く綺麗な青。
どかああああああん!
こんな轟音も耳を塞げば大丈夫。
ぎゃあああ!!
こういった悲鳴も日常茶飯事。
今日もへい「現実と前を見といた方が良いぞ里乃」
「あら、そう?」
二人は走る。凄いスピードで走る。というか、里乃は悠哉に引っ張られているだけだが…
「何で市民巻き込んでいるのよ新鮮組副隊長さん。簡単に述べてみなさい?」
「新鮮組ってなんか魚屋みたいだな。質問に答えるとすると、楽しそうだから?」
「へえー。楽しそうだから攘夷浪士共と鬼ごっこねえ。」
「まさかこんなにいるとは。」
「まるで家の隅の穴ほじったらゴキブリが大量に湧いて出てきたみたいね」
気持ち悪い喩えだがあながち間違ってなかったりする。
面白半分で町の隅をつついたら浪士が湧いて出てきた。本気になれば全員瞬殺なんて容易なのに今日は走りたい気分だったようだ。
そんな悠哉の遊びに巻き込まれたのは里乃だった。
偶然買い物をしようと町まで出掛けたら、はい、この状態。
「…あら?貴方のお仲間かしら」
「ん?あ、本当だ」
鬼ごっこも終わりか。
そう言って立ち止まり刀を抜く悠哉。
「あなた私にきな粉で戦えと言うの?」
短時間の買い物中に買えたものはきな粉だけだった。
「あー…じゃあ逃げ…−」
「…って何きな粉撒いてんだよ」
切りかかってくる浪士にきな粉を投げつける。
案外周りはくしゃみを誘ったりむせたりで大変そうだ。
「こんの、小癪なぁああああ!!」
里乃を襲う一人の浪士。"それ"は一瞬で屍と化した。
そんなのには全く気にしない様子で相変わらずきな粉を撒いている里乃。
「後ろがら空きだっつの。」
「悠哉がいるもの平気よ」
「お前…」
「悠哉ーーーー!!!」
ご立腹の真選組副長が登場。
「大丈夫、もうやっつけたからさ」
「は?何言っ…」
「キノコ」
何言ってるんだ、そう土方が言おうとしたが。シャンッと刀の音と悠哉の呟きが聞こえた瞬間。ほんの一秒。浪士は全員が倒れ伏せていた。
「相変わらずすごいわね、悠哉ちゃんは。」
「おうよ!」
「いやいやいやいや!?何今の!?今の呟き、何!」
今の呟きとは、キノコのことだろう
「何となく?というか局長も斬っちゃったんだけど」
「な!?何し…」
土方が局長、近藤のいる方を見ると…
「何服切り刻んでんだあああ!」
服を失った近藤の姿。
近藤はどうやら気づいてない様子でパトカーに乗り込む。猥褻行為でもして捕まったようにも見えるその光景。
「そういえばあの女は…」
「あ、あの子は人質として連れ去ったんだけど…、
……あれ?いないな…」
里乃さんが忽然と消えました。
「は!?ちょっ…オイオイ…いろいろ書かせなきゃならねーのに…つーか人質ってどっちが悪人かわからねぇよ!!」
「勿論俺。」
「よし。始末書いつもより倍書け」
「えええ!?だるっ…」
「まったく。悠哉以外の真選組なんかに合うなんて…」
今日も、面倒な程平和ね…
「…あ、きな粉買ってこなきゃ」
2012/05/03
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