真夜中に開く

 寝返りを打つ。ちょっと不思議に思って目を開けたら、ゲーラとメイスの顔があった。なんで、二人して人の顔を覗き込んでいるんだろう。微かに煙草の匂いがする。
「寝煙草、だと火事になるよ」
「あ?」
「布団や服に火がついて、あっという間に火達磨になるんだって」
「あー」
 ゲーラは要領を得ない顔をして、メイスはなんか納得をしたような顔をしている。「どういうこった」とゲーラが聞いてきた。
「なんか、煙草の火の粉が、服についてボッとなるんだって」
「あー」
「そうだな。寝煙草は危険だな。そうじゃないと思うぞ」
 そういってメイスが髪を撫でてくる。サラサラと、人の髪質を見るみたいに触ってきた。寝返りを打ってみる。ゲーラがちょっと唇を尖らせて、手を伸ばしてきた。
「動物じゃない」
「知ってる」
「人間だろ」
「ペットで」
 もないよ、といおうとしたら優しく唇を撫でられる。しまった、動詞の方で受け取られてしまった。指の背で撫でられて、頬も撫でられる。メイスも髪を撫でるのをやめ、梳いてきた。真夜中に人を起こして、なにをしているんだろう。この二人は。うとうとと眠くなってきた。重い瞼を閉じようとすると、二人がまたいってる。
「寝ちまいそうだな」
「最初からグッスリとだったからな。それを起こしちまった、というわけだ」
「無断で入らないで」
 結構人の寝顔を眺めてたということじゃないか。今度仕返ししてやろうか。そう思いながら、布団に潜り込む。冷たい。ピタッと首になにかを当てられた。
「あったけぇな」
「ビックリして起きてしまうだろ」
「起きた」
 ジト目で睨んだら、ゲーラが「わりぃ」と謝った。


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