すべて奪われたかった

 ポテチの袋を奪われる。食べ差しだったのに! けど、ゲーラは無視してパクパクと食べていく。
「ちょっと! それ、私の!!」
「んだよ。別にいいじゃねぇか。それほど気に入ってたのか?」
「そうなの!」
「大人気ないぞ。ゲーラ、少し分けてやれ」
「だから、それ元々私のだって!!」
「代わりに、俺のを分けてやるからよ」
「それオツマミじゃん! 私はポテトを」
「ポテトだぜ?」
「だから、薄型の」
「スティックも美味いものだ。それに、ほら見ろ。生産国を」
 そういって見せてきたものを見ると、極東の島国発。なら、美味しいに決まってる。それか、その可能性が高い。ヒョイッと抓んでみる。期待通り、美味しかった。
「美味しい」
「だろう?」
「比較的くどいヤツは、こっちで処理しておくぜ」
「だから、それ私のだって」
「物々交換だ。しかも、味はこっちが上だ」
「寧ろお釣りがほしいくらいだぜ?」
「お釣り」
「金じゃないぞ?」
「精神的な方だよ」
 それって、どういう。ポキッとスティック状のお菓子を食べるけど、二人の口が話してくれなかった。目だけでわかるのは、無理がある。もう一本を抓もうとしたら、ヒョイッと箱も取り上げられた。


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