掃除しろ

 街はクリスマスに染まり、年末が近づく。家でパーティーを開くわけじゃないけど、新年は綺麗な状態で迎えたい。ので、ちゃんと隅々まで掃除することにした。
 ゲーラは洗面所と浴室で、メイスはキッチン。私はリビングだ。先に叩きで高いところの埃を落として、家具を動かす。これには男手が必要なので、随時ゲーラやメイスを呼んで手伝ってもらった。
「ん、ありがと。あとで戻すから、大丈夫だったら手伝ってね」
「おう」
 じゃ、戻るわ。といってゲーラが浴室の掃除に戻る。ペタペタと濡れた足跡が床に残る。それもあとで拭かないとなぁ。と思いながら掃除をしていたら、失くしてたと思った漫画が出てきた。
「あっ」
 しかも気になってた展開の続きだ。飛ばしで読むの嫌だなぁと思って読むの諦めてたんだけど、ちょうどいい。ペラペラとページを捲った。
(おっ、こうなるんだ)
 やはりこの作者の描く漫画は凄い。ズラした棚に腰かけて本を読んでたら、メイスから声をかけられた。
「おい、サボってんな! まだ掃除する箇所は残ってるんだぞ!?」
「わかってるー」
 もう。少し声を張って答えたあと、漫画を棚の上に置いた。掃除の続きに取り掛かる。ちゃんとモップで隅の埃を取ったあと、棚を戻そうとする。けど、動かない。
(重い)
 キッチンと洗面所に動きはない。二人が暇になる頃合いを見計らって、声をかければいいか。そう思って、棚の上に置いたのを動かして、掃除をした。埃を取って、水拭きする。
「あ? それ、前失くしたヤツじゃねぇか」
 元持ち主が消えた漫画を見つけた。
「そうだよ。後ろに落ちてた」
「は? なんでだよ……。ちゃんとメイスのに戻したはずなんだがなぁ」
「俺がどうした。って、それ、俺のじゃないか」
「メイスのだったの?」
「ゲーラが見つけて、俺が面白そうだったから買った」
「割り勘だな。たまに貸し借りしてる」
「へぇ。今度貸してよ。なんか」
「あー。まぁ、いいけどよ」
「結構ゴアなところがあるぞ」
「大丈夫だよ。面白ければなんともない」
「ほー。っつか、それまだマシな方だぞ?」
「結構ハードなところがあるぞ」
「マジか」
「マジだっつーの」
「読むか? 今度」
「読む」
 読めるときには読みたい。そう頷いたら、お互い手が止まってることに気付いた。


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