パンツの日

 今日はパンツの日らしいというが、これはあんまりなのではないかと思う。目の前でパンツ一丁のゲーラとメイスたちを見ながら思う。対して私はちゃんと服を着ている。寝間着である。ついでにボスもパンツ一丁ときた。いったい、なにがあったというのだろう。
「うぅ。頭がガンガンとくる……」
 あっ、わかった。ボス、二日酔いだ。二日酔いなんですね? ボス。そう思いながら、床に落ちてた服を拾い上げた。
「水飲みます?」
「頼む……」
「というか、なんで私の部屋にいるんですか」
 ゲーラとメイスに至ってはパンツ以外全裸だし。そう思って床に寝そべる二人を見る。起きる気配はない。ボスはソファで大きく脚を開いたまま、頭を抑えていた。
「いや、覚えてない……。よく覚えてないんだ……」
「深酒ですね。悪酔いにもよくあることですよ」
「うぅ。僕は酔ったのか……?」
「らしいですね。まぁ、ゲーラとメイスの様子を見るに、そう悪い酔い方ではなかったようですが」
「そうなのか?」
「そう、ですね」
 少なくとも、二人に生傷もなければ青タンもない。寧ろ健やかな寝顔で床に転がっている。絡み酒とか説教魔とか、少なくともそういうものではない。未だにパンツ一丁の状態はわからないが。
(そうだ)
 ふと思い出し、洗濯機に向かう。蓋を開ければ、洗濯を終えた服が入っていた。取り出せば、ゲーラとメイスの分もある。試しに匂いを嗅いでみれば、乾いてない生乾きの臭いがした。
「うっ、くさ!」
 思わずもう一度洗濯にかけた。これは致し方ない。ボスには悪いが、もう暫くパンツ一丁でいてもらおう。
(いざとなったら、タオル渡せばいいか)
 タオルケットの存在を思い出しながら、台所に向かった。
 水を入れる。二日酔いにはなにがいいんだっけ……。その情報が思い出せないまま、水の入ったコップをボスに渡す。
「悪い、感謝する」
「いいえ、困ったときはお互い様ですから」
 で、とボスの顔を見る。ボスの眉間にすごい皺が寄っていた。
「もしかして、吐いてしまったんですか」
「わからん……。よく覚えていない」
 そういって、ボスは頭を振る。そういうことで、私が寝惚けて三人の服を洗濯にかけてベッドに戻った、という線はなくなった。というか二人に聞かないとわからないだろう。
 ゲーラとメイスを見る。私とボスが消えた記憶に関して頭を捻ってるというのに、二人は幸せそうに眠り続けたのであった。


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