初日とバーガー

 バーニングレスキュー隊に入って初日。先にやることは仕事を覚えることだった。人命救助の基礎に道具の使い方。それとギアの使用上の注意。復興作業の傍らとはいえ、やることは多い。先に復旧したハンバーガー屋さんで食事をしながら、ぼんやりと考えた。
「ボス、ソースが垂れてますよ」
 その声に視線を上げれば、メイスが自分の口元を指していた。それにボスは気付き、手で拭おうとする。
「ボス、これ」
「あぁ、ありがとう」
 その寸前に紙ナプキンを取り、ボスに渡す。長年の生活で染みついたこともあって、物資を節約する癖が抜け切れてない。かくいう私もそうだけど。と思いながら、ポテトを一つ抓む。
「お前、食いすぎだろ。もう少しこっちも食えや」
「うぐ」
「そもそも、お前たちが食べなさすぎだろ。もっと食べろ」
「しかしボス」
「俺たちゃ、ボスにもっと食べてほしくて……」
「はふはふ、はふはふ」
『そうです』といったつもりが、ゲーラに突っ込まれたバーガーのせいで上手くいえなかった。というか、私はちゃんと食べた。リンゴのアップルパイを食べた。
 一口だけ齧り、ゲーラに渡す。
「というか、二人とも食べなさすぎ」
 齧られたバーガーをゲーラが受け取る。
「なに? 胃袋でも縮んじゃったの?」
「縮んでねーよ」
「お前の場合は度が過ぎる。無理してでも食べろ」
「食べたくない」
「無理矢理食べさせても吐くだけだ。大概にしとけよ、お前たち」
「へい」
「はっ」
「なんで? なんで食べさせる前提なの? なら、ボスももっとたくさん」
「僕はいい。ビッグバーガーを食べているからな」
「……そうですね」
 この中で一番大きなバーガーを食べてるボスに、なにもいえなかった。確かに、ポテトを除く物量でいうならば、ボスの方が多く食べている。
 私は小さなアップルパイで、ゲーラとメイスは普通のサイズ。そしてボスは大きなビッグバーガーだ。その分、ソースや具材がまたパンから食み出る。
「ボス。また出ていますぜ」
「むむっ」
「これをどうぞ」
「助かる」
「急いで食べると喉に詰まりますよ」
「わかってる」
 メイスから紙ナプキンを貰いながら、ボスは頷いた。


<< top >>
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -