無害と有毒

 見慣れた野草を摘む。空腹に負けて生で齧ると、苦い味がした。
「うぇ」
「つまみ食いするな」
「せめて焼いてからにしろ」
「アク抜きだと思う」
 同じように食料調達しているゲーラとメイスにいう。二人の手には、キノコと野草だ。
「そもそも。それ、食べられるの? 特にキノコ」
「当たり前だろ!」
「そもそも毒との見分け方も、全てこの頭の中に入っている! 心配ご無用、ってヤツだ」
「そうかなぁ」
 ゲーラはともかく、このときのメイスはドジを踏むことが多い。油断大敵ってヤツだ。そんなメイスの言い方を真似しながら、二人の手にあるものを見た。
「食べられるっけ?」
「食べられるヤツだ!」
「食べられるはずだ」
「これは?」
「いける!」
「新種のキノコだな」
「いや、多分毒だって。やめておこうよ」
「俺たちの炎は最強だ! きっと腹痛だなんて屁でもないぜっ!!」
「いや、それだけじゃなくて神経毒」
「は?」
「燃やし続けることもできなくなっちゃうってこと」
「なっ……!?」
 あ、固まった。肝を冷やしたゲーラとメイスを見て、そう思った。


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