執行猶予付与

 復興作業が優先ということで、余罪のある私も執行猶予の対象になった。ボスたちよりも、余罪があるのに対してだ。殺しもしたし、大規模火災のテロも起こして、街も焼き尽くした。そんな極悪非道な罪状があるというのに、裁判ではボスたちと同じ扱いになった。
(なんでだろう)
 と思いながらもレスキュー隊の服を眺める。ボスたちに合流する前に極悪非道なことを、例え年端の満たない頃に犯してしまったとはいえ、同じ待遇でもいいのか。
(彼らの非道に気付いて逃げて放浪して、それでゲーラたちのいるグループに迎え入れられたけど)
 彼らの行った悪行と私の犯した悪行を比べれば、遥かに私の方が重い。けれどもレスキュー隊の服も重そうだ。なので下だけを履いて上だけはいつも通りにした。
「わっ、似合わない」
「あ? どういうことだコラァ!」
「お前だってちゃんと着ていないだろ」
「最近火災とかないはずだと思うからイケる」
「ゲーラのように着込んだ方がいいぞ」
「せめてメイスのように肩にかけておけよ」
「重い」
 というか、私よりガリガリのはずなのに、なんでそんなに持てるんだ。
「肩凝らない?」
「凝らない」
「むしろ少しブカブカだな」
「そっかぁ」
 まぁ、ブカブカだということには同意するか。
「そういえばボスって? ボスも同じ服を支給されているの?」
「あぁ、そのはずだと思うが……」
「あっ! ボス!! おはようごぜぇ」
 やす、といおうとしたゲーラの口が閉じた。というか小さくなった。その驚きに釣られ、私もボスを見る。ボスは、まるでブカブカの宇宙服を着るような感じで、レスキュー隊の服を着ていた。
「おはよう」
「特注、頼んでおきます?」
「あぁ、できるようならな」
 どうやらボスも、気になるようだった。私も、少し気になる。ボスと同じようにズボンの腰を上げながら、レスキュー隊の面々の体型について少し思った。
(確実に、このサイズを想定してなさそう)
 だけど白衣着てる人もいるし、この辺りはどうなんだろう。そういうことを思いながら、ボスに続いて廊下を歩いたのだった。


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