舌のとろけるココア(メイス)

 ホットミルクを飲みたくなったので、冷蔵庫を開ける。するとメイスが「美味いココアを作ってやろうか?」と提案してきたので、それに乗ることにした。牛乳を渡す。自分の洗い物をしていたメイスは、それを調理台に置いた。私はココアの缶を出す。メイスが「ついでに泡立て器もあったら頼む」といってきたので、それも探すことにした。
(どこにあったっけ)
 そもそも、大きいのでやるのか? いやいや、一人分だぞ。小さいので充分だろう。仕方ない、ドレッシング用のきみ、犠牲になってもらおうか。
 オリーブオイルと塩コショウを混ぜるヤツを、メイスに渡す。本人はまだ、洗い物をしていた。
「助かる」
 そういって受け取る。それも調理台の上に置くと、洗い流したのをポンポンと食器洗浄機に入れた。まだスイッチは捻らない。
「作っておくから、代わりに洗剤とか入れてくれ」
「わかった」
 等価交換だ。メイスがココアを作る代わりに、私が準備をする。食器洗浄機の中身を見たあと、洗剤の量を調整した。(今日は少ないから)いやいや、もしかしたら鍋と泡立て器がある。と思い直し、洗剤の量をちょっと調整した。
(まぁ、大して増やしたわけでもないし)
 あっても一ミリだ。誤差の範囲だろう。それを食器洗浄機に入れて、蓋を閉める。手を洗ってからコンロへ行くと、メイスがココアを量っていた。
 大さじ二杯、それと砂糖小さじ一杯。鍋を覗くと、ミルクがグツグツ煮えてる。
「それだけ?」
「これがコツなんだ」
 といって、ココアと砂糖を全部入れた。グルグルと泡立て器で回す。それから牛乳も足していって、少しずつ馴染ませていった。鍋の縁から湯気が薄く出る。それを目安にして、メイスがカップにココアを入れた。
「ほら」
「ありがとう」
 カップの取っ手に指を入れ、反対側を手で支える。思ったより、熱くない。一口飲めば、ダマのないココアの味がした。スゥっと舌を通って、ゴクゴク飲める。
「美味しい」
「だろう」
 そう零せば、メイスが胸を張った。


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