ピエス・モンテ

「あのチョコレート。食べてみたい」
 ななしが指差す方を見れば、動画である。スマートフォンの画面には、精巧に作られた茶色い鳥籠がある。ななしのいうとおり、チョコレートで作られたものだ。咄嗟にゲーラとメイスは計算する。
(無理だな)
(無理だ)
 第一値段がかかるし、自力で作るには無理がすぎる。冷静に、口を開いた。
「諦めろ」
「作るにしても、無茶がすぎる」
「そんな夢のないことをいう?」
 信じられなさそうにななしがいうが、事実である。初心者には到底技術の及ばないところだ。サッとスマートフォンの画面が消える。ゲーラがタップすると、検索を始めた。料金を表示し、ななしに見せる。
「げ!」
「一回で食う分にゃぁ、高すぎるな」
「そもそも、食えるかさえ確かではないだろう」
「そんなに?」
「そんなにだ」
 頷くゲーラに、ななしは顔を歪めるしかなかった。


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